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Jan 31, 2011

ERを振り返る

ERで学んだこと

① 頑張れるという自信
やっぱりね、研修医の数が普段の2/3みたいな期間に、ちゃんとちゃんと2カ月乗り切れたのは、かなりの自信になりました。
休みが無い、夜勤の数が多い、この状況を乗り切れた自分にビックリ。
なんとかなる、という自信。

まぁ、これに関しては、周りにとっても感謝なんですけどね。
同じグループの研修医のMりん(女)とCちゃん(男)って、すごくsupportiveだったし。
仕事頑張るタイプだったし。

同じ期間に回ってて、途中でドロップアウトしたNちゃんにも感謝してるんです。
彼女がいなくなったことで、負担は確かに増えたけど、でも、彼女が先にドロップアウトしたことで、私にはドロップアウトという選択肢が無くなってたから。
どんなに辛くても仕事行かざるを得なかったから。

② とりあえず、患者さんを診る自信
とりあえず、患者さんの前に出て、話を聞いて診察して、検査したり処置したりすることはなんとなく出来るようになった気がする。
気がする。

③ 手技
麻酔科を回るまでは採血とラインのみ。
麻酔科を回って、A-lineと挿管。
そんな状態の私。

でも、ER回って早々にCV入れて、結局沢山入れる機会あって、内頸・鎖骨下共に何回も入れたし。
A-lineも入れたし、ラインも沢山取る機会あったし。
胸腔ドレーンも何回も入れたし。
縫合も沢山する機会あったし。

なんか少しは出来るようになった気がする。



うん、進歩したとは思うよ。

Jan 30, 2011

人生にアップ賞はいらない

ERの先生に言われた。

はやたまは、もともと出来るから、伸び代が少ないからなぁ。

褒められた、のかな?
ちゃんと診察もするし、話も聞くし、それなりらしい。

そんな折、血液内科でお世話になっていたS先生の言葉を思い出した。
端的に言うと、上記の通り。
「人生にアップ賞は要らない」

成長した、って分かるほどにずっと成長するなんてことは無理。
だから、進歩してるのかな、って思う程度でいいんだよ、って。
それでも長期的な目で見れば成長してるんだよ、って。

だからね、伸びたなぁ、って思えなくても、それでも大丈夫なんだよね。

Jan 29, 2011


風、じゃないよ。
虱、だよ。

まぁ、私も今変換するまでこんな漢字知りませんでしたけど。
これ、シラミって読むらしいです。

今日ね、最後の初療日直だったんです。
そして、夕方最後の最後に。

シラミまみれのホームレスが運ばれてきました。。。
事前情報として、虫がいる、っていう話があった訳です。

聞いた瞬間、テンションだだ下がりですよねぇ。。
救急隊が到着するまでにやったこと。

①髪の毛をお団子状にまとめ上げる(ほら、ポニーテールよりも表面積少ない感じ?笑)
②ガウンを着る(長いかっぽう着みたいな、防御服)
③防水性の使い捨てのエプロンをする
④帽子をかぶる(シャワーキャップみたいな感じ)
⑤マスクをする(目の部分にも透明なフィルムがついてるタイプ)
⑥使い捨てのシューズカバー(ブーツタイプで、膝まで覆うもの)

まぁ、つまりは自分の肌とかが出てる部分はないようにした訳です。

こういう患者さん(しらみ、は初めてだけど、それ以外にもホームレスの方で臭いが強烈な人とか。)が到着した際にまずは行うのは、半ば外みたいな場所にある通称「海の家」と呼ばれるシャワールームでとにかくきれいに洗うこと。
今回もこちらへ運び入れ、とにかく洗う洗う洗う。

洋服を切った瞬間に、肌の上にだーーーーっと何やら虫がいたよ。。。。
もう、気持ち悪いったらない。
洗いに洗った後には、シラミ駆除剤の白いパウダーをとにかく体に振りかけまくり。

終わった後は、なんか体中が痒い気がしました(笑)
シラミなんて私にはついてないのにね。
気持ちの問題って面白いね(笑)


そして、さすがにシラミは珍しいのか、沢山の見物者がいました。
見てるなら、手伝ってよ。。

Jan 26, 2011

泣きたいよぉ。

わたくし、この1週間で3回の当直があったんです。
しかも、その間に担当患者さんの緊急オペが。。。

19日夜勤
20日夜勤明け
21日夜からの緊急オペ
22日夜勤(文字通り一睡も出来ず)
23日夜勤明け
24日夜勤
25日夜勤明け

今回、回っている研修医の数が少なすぎるんです。
だから、こういう事態になるんですが、どうにもこうにも。
私の体力も気力も限界。。。

上のI先生に言われました。
さすがに、それは辛いでしょう、と。
これを乗り越えれば他のどこでもやっていけるよ、と。

なんとか乗り切ったよ。
頑張ったよ、私。

Jan 19, 2011

プロはプロ

プロってね、やっぱりプロなんだなって思いました。
上手く言えないけど。
でも、プロってすごいなぁって。


ドラマや現実で「今夜が峠です」とか聞きますよね?

なんで分かるんだろう?
昨日と今日で何も変わらないのに、なんで今夜が峠なんだろう?
って昔は思ってました。

本当に突発的な急変、というのはいつ起きてもおかしくないから分からないですけど。
でも、そういう場合でなければ、本当に峠は存在するんだなって。
分かる人には分かるんです。
プロだから。

今の私は、普段より少し脈が速いとか、普段より少し血圧が低いとか、普段より少し違う、って気づく閾値はまだ低いと思う。

でも、それでも、「あー、ちょっと危ない」って思う程度には分かる。

多分、ご家族とかにとっては、昨日までとあまり変わらない間に、私ですら、思う。
だから、絶対、上の先生たちは、もっと分かるんだと思うんです。
そういう積み重ねが、「峠」を生んでるんだと思うんです。


上手く言えない。
だけど、プロはプロ。
私も少しでもプロに近づきたい。

Jan 12, 2011

救急車同乗再び

さて。
前回は昼間に、急変の可能性の低い患者さんの転院に付いて行きました。
今回は夜間に、急変の可能性の高い患者さんに付いていく羽目になりました。

40歳男性。
ご家族が家に帰ったら、ひっくり返ってたそうです。
診断名はSAH。クモ膜下出血です。

SAHが疑われる場合、搬入されてきてからは極力刺激を避け、まずはCTを撮影します。
SAHと確定した場合、目隠しをして(光刺激を避ける)、鎮静をして(余計な体動を避ける)、降圧をします(血圧はだいたいが髙いので)。
再破裂させたら助かる可能性はものすごく低くなりますから。
そして、脳外科Drをcallしてope適(opeをする適応があるかどうか)があるかの判断を仰ぎます。

今回は、SAHと確定診断され、ope適もあると判断でしたが、いかんせん本日はうちのope室が夜までいっぱいで緊急opeを出来ない状態。
そこで、近所の大学病院の救急に転院搬送することになったんです。

SAHの程度はなかなかひどかったです。
救急隊を呼んでいる間に、初寮室でけいれんを起こすほどでした。
当然ながら、挿管もされ、人工呼吸の状態で。

一緒に救急車に乗っていく私の仕事は、
①向こうの病院に付くまでの間、アンビューバッグを押す(挿管チューブに風船みたいな形のバッグをつなぎ、それを押すことで人工呼吸をする)
②途中で急変があった場合はそれに対応する
の2つです。

しかも、血圧を下げる薬を持続で流しているけど、救急車の中では血圧を持続で測定する装置(A-line)なんてない。
下がりすぎても上がりすぎても怖い。

という訳で。
内心ひぇーーー、って思いながらも、ご家族や救急隊の前では平然とした顔で乗ってきました。

左手でずっとトウ骨動脈(木へんに土3つの漢字。)を触れながら、右手でずっとアンビューバッグで呼吸をさせている状態。
トウ骨動脈を触れていたのは、ここの動脈で脈を触れられればBP80はあるという目安になるから。
ここで触れなければショックの状態ですし、手が湿ってきたりしても状態は悪い。
右手では時折出る自発呼吸を感じつつ、人工呼吸。
羽織ってた当院ERのジャンバーのポケットには、シリンジ・針、そして、痙攣などの急変時にすぐ使えるように薬のアンプル。

なんとか無事に向こうの病院について、向こうの先生に説明して、オペをお願いして。
本当にホッとしました。助かるといいなぁ。
そして、なんと、帰りも救急隊の方が救急車で送ってくれました♪

それにしても。
今日の私、絶対行きと帰りで顔つき全然違うと思う。

Jan 10, 2011

ナイフ?

夜勤中に、同期の子がタルトを買ってきてくれました♪
大好きなキフフェボンのフルーツタルト♪♪

食べよ!食べよ!っと一緒に当直をしてた3年目のE先生をせっついて、冷蔵庫から出してきて、いざケーキを前にして。
みんなで一斉に気づきました。

あ、ナイフない。
どうやって切り分ける?

とりあえず、コンビニに行ってみて。
ないんですねぇ。ナイフって。

ケーキの前でしょんぼりしてたら、E先生、思いつきました。
そうだ、ER初寮室には切れ味のいいナイフがあるではないか!

何を持ってくるのかと思ったら、メス!(笑)
確かに、人を切れるくらいですから、ものすごーーーーく切れ味はいいです。
しかも、使い捨ての滅菌されているものですから、とってもきれい。

という訳で出来あがった図がこちら。
外科医のE先生、フルーツタルト切り分け術開始します(笑)



まぁ、普通の人なら食欲失くすよね(笑)
当然のごとく、私は美味しくいただきましたけど(笑)

Jan 8, 2011

冬眠

人間も冬眠するんですねぇ(笑)

わたくし、5日が当直だったんですね。
6日、眠くて眠くて、当直明けに家に帰り、そのまま寝てしまった訳です。

で、途中でメールで起きました。
時計の針は7時。

ん??
7時??
19時??
外は暗いぞ?

携帯を確認すると、夜19時でした。
つまりは、6日の昼から7日の夕まで寝っぱなし。

しかも、その後さらに普通の時間に寝て、8日(今日)起きたら朝5時。
寝すぎですよねぇ。
昨日はせっかくのお休みだったんですけどね。
残念すぎる1日ですよねぇ。
人間って冬眠するんですねぇ(笑)

Jan 4, 2011

救急車同乗

学生の頃、救急車同乗実習なるものがありました。
そういえば。

だけど、医者になってからの同乗は少し意味合いが違います。
他の病院に転院となる患者さんについていくんです。

確かに、重症だったらそれは大事なことなのですが。
今日同乗していった患者さんは全くもって乗っていく必要のないような状態の患者さん。
うちの病院で診ている必要のないくらいの状態の患者さんで、かかりつけの病院に転院になることになったのですが、ご家族の猛反対にあいまして、お互い妥協した点として、医者が付いていく、ということになったんです。

で。
私が乗っていくことになったのですが。
私、ものすごーーく車酔いするんですね。
救急車に乗って、患者さん診ながら、って非常に非常に気持ちが悪いんですね。

必死に我慢して送り届けて引き継ぎをした後。
病院の前で乗ってきた医者というのは放り出されます。
救急車は帰りは乗せてくれませんから。

でもね、でもね。
気持ち悪い状態な私は、タクシー拾う気にもならず。
駅が目の前だったから、そのまま電車に乗ったんです。

えぇ。
ERのスクラブの上から白衣きた状態で。

周りの視線は意外ときになりませんでしたが(多分、頭がおかしい人だと思われて、みんな見ないようにしていたと思われます。笑)、寒かった。。。
へろへろになりながら自分の病院に戻ったはやたまでした。
もう嫌だ。

Jan 3, 2011

休みが嫌い

っていうのは、しょうがないですよね。
病院、特にERで働いてると、休み大嫌いになります。
その最たるものが年末年始。

1.他が休みだからうちに来てしまう。
2.検査室などその他の部署はお休みだから、細かい検査などは出来ない
3.他の科がお休み体制で、いろんな話が進まない
3.他の病院もお休み体制だから、転院交渉なども進まない

という訳で、仕事は多いわ、変な患者さんは多いわ、疲れ果てました。

ようやく年末年始が終わったー!!
って喜んだら、事情を知らない人には変な顔されましたけど。
でも、年末年始ほど疲れるときはないと思うのです。
しかも、給料入らない(平日のみのカウントの日雇いの扱いだから)し。

終わった終わった♪
明日からはもう少し働きやすいはず。

Jan 2, 2011

嬉しかった part2

CC 左上下肢のしびれ

HPI
2010年12月31日21時半頃に、居酒屋で食事中(アルコール未摂取)に突然に左上下肢のしびれ感(異常感覚)が出現。30分経過を見ていたが症状軽快しない為、救急要請となった。
なお、3日前にも同様の症状が突然出現し、3-4時間で自然軽快したとのこと。

PMH
高血圧:10年前より指摘されているが未治療
高血糖:2年前より指摘されているが未治療
心疾患の既往なし

Meds:なし
All:なし
SHx:タバコ40本/day×20年、アルコール機会飲酒
FHx:母がSAH、突然死・脳梗塞・心筋梗塞の家族歴なし

vitals:T37.2、BP208/118, HR98(reg), SpO2 100%(RA), RR16

PE:
Gen:意識清明、ストレッチャーからベッド移乗も自力で可能
頭頚部:眼瞼結膜貧血様(-)、眼球結膜黄染(-)、リンパ節触知せず、頸静脈怒張なし、頚部bruitなし
胸部:S1→S2→S3(-)S4(-), LevineI-IIの2LSB収縮期雑音、正常肺胞呼吸音、ら音なし
腹部:脂肪で膨満、軟、圧痛なし、腫瘤なし、肝脾触知せず、血管雑音聴取せず
四肢:no edema, no cyanosis, 下肢把握痛なし

神経学的所見
CN:EOMI, 眼振なし、視野障害なし、V1-V3で左異常感覚あり、眼輪筋5/5、口輪筋5/5、指こすりで左右差なし、カーテン徴候陰性、舌提出正中、胸鎖乳突筋5/5
motor:Baree左回内下肢Baree左やや低下、MMT上肢(Bicep/Tri/WE/WF)5/5、下肢(大腿四頭筋・脛骨筋・足底屈)5/5
sensory:左上下肢で異常感覚あり(C5-Th1でDermatome差なし、L1-S1で下腿>大腿)
coordination:DDK左でやや軸不正、RAMs左で稚拙、指鼻指左で測離障害、踵膝試験左で軽度測離障害
gait:左に傾いて歩く、継ぎ足2歩目で左にstep out

NIHSS: 3点(感覚異常2点、)

私が学生時代から力を入れて頑張ってきたのはここまでを完ぺきにすること。
鑑別をあげたり、必要な検査を考える上でも大事だから。
大前提だから。

で、これを見た神経内科の先生に褒められた訳です(*^-^*)


ちなみに、神経内科コンサルト前に行った検査は
- ECG: WNL
- ABG: Glu264以外はWNL
- L/D: K3.5以外はWNL
- CT:頭蓋内出血なし、明らかな異常所見なし
- 胸部造影CT: 大動脈解離など脈管系異常所見なし、その他異常所見なし


で、脳梗塞疑いでMRI撮影予定として、神経内科コンサルトしたんです。
結果としては本物で、内包後脚から視床にかけての部分に小さめの脳梗塞がありました。
入院加療の上でリハビリですね。
病識ないけど、その他リスクファクターもどうにかしていただかないとね。

Jan 1, 2011

嬉しかった part1

今年の初め、というか、昨年の終わり、というか。
とにかく、今年の年越しは最悪;;
だってね、ERの夜勤なんだもん。
しかも、明日も夜勤。
そろそろ体力・気力ともに限界。。。

でもね、そんな中で、嬉しかった出来事が。
年末も年末、2010年12月31日23時10分のこと。
左手足のしびれを主訴に救急搬送された40歳男性。

私の診察の結果では、脳梗塞が非常に非常に疑われました。
(詳細は後述しますが)
で、神経内科の当直Drをcallしたんですけどね。
その先生に電話して、「脳梗塞疑いの患者さんがいて今からMRIを撮影しようと思っているんですが、診て頂けませんでしょうか」と説明したところ。
すぐに降りて来てくれました。

その先生に言われたのが。
「先生のカルテを見て、これは本物の脳梗塞だ、とほぼ診断をつけて病棟にも脳梗塞の入院が来る、という連絡をした上で降りて来たのよ」と。
「これだけちゃんと話聞いて診察出来てれば、ほぼ完ぺきでしょ。カルテ読んだだけで診断つけられるよ」と。

本当に嬉しかった。
学生時代から、とにかくSOAPでいうところのSとOは完ぺきにしたい、と思って頑張ってきて。
研修医になってからはSとOは前提として、AとPをどれだけ考えられるかで頑張ってはいるけど、それでもAとPはまだまだな感じ。

鑑別を立てて、診断を付けていくのが医者(特に内科系はそうだよね。外科だとopeも大事だけど。)の仕事の本分。
それで日々もがいている感じだけど、そんな中でこうやって認めてもらえて嬉しかった。
その前提のSとOは出来てるんだ、っていう再確認。
このまま頑張っていけばいいんだ、っていう再確認。

ちなみに、このときの私のカルテはpart2で後述してみます。