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Mar 31, 2012

研修修了

わたくし、はやたま、本日をもちまして2年間の初期研修を修了いたしました。
臨床研修センター長にも言われましたが、実は私自身が一番ビックリしています。
まさか、2年でちゃんと終えられるとは思わなかった。



思えばいろんなことがありました。
気持ちのバランスを崩して途中仕事をお休みした期間もありました。
その前後で働き方や自分の心持ちが変わったのも事実。

同じような生活をして同じような仕事っぷりだけど、だけどとても楽に楽しく幸せに生きられています。
仕事を頑張らない訳ではなくて、出勤してから退勤するまでは仕事一生懸命だし勉強もします。
いろんな患者さんにいろんなことが起きて、頭のキャパオーバー気味なこともあります。
なんだけど、気張ってる訳ではない。マイペース。

家に帰ってから勉強が残ってることもあるけど、でも基本的には家の数時間でリフレッシュをはかれていて、また翌朝頑張れる。
週末に一日お休みをもらえた時に、その中でやりたいことをやって、気持ちをリセットできてる。

今思えば、あの1ヶ月が私の人生を大きく変えてくれたんだと思います。


失敗して落ち込んだことも多々。手技が出来るようになって喜んだことも多々。
体力の限界を感じてもう無理!!ってなったことも多々。
上の先生に褒めてもらえて嬉しくなったことも多々。
自分のダメさ加減を実感して落ち込んだことも多々。
患者さんが良くなってくれて嬉しかったことも多々。
患者さんに言われた言葉が嬉しくって仕方が無かったことも多々。
担当してた患者さんがその後亡くなったと聞いて涙したことも多々。

2年間で、嬉しかった時に共有してくれたのも周りの人たち。
2年間で、悲しかった時に支えてくれたのも周りの人たち。
本当に沢山の大切な人たちに出会いました。
ありがとうございました。
そして、今後もよろしくお願いいたします。

Mar 27, 2012

○○る


という表現、若い人を中心に日本人みんなけっこう頻用している気がします。
「る」を付けることで動詞にしちゃおう、っていう。
コピる、とか。

病院でもけっこう使われています。
もちろん、コピる同様、あくまで口語体ですけど。

さて、クイズです。
それぞれ、どういう意味でしょう?

① タキる
② ステる
③ デプる
④ ネクる
⑤ アテる

①頻脈になる
英語のtachycardiaから来てます。
②死亡する
ドイツ語のステルベン(spell分からないけど)から来てます。
③鬱になる
英語のdepressionから来てます。
④壊死する
英語のnecrosisから来てます。
⑤無気肺になる
英語のatelectasisから来てます。


私は変な英語とかドイツ語が混じって使われてるのがなんか気持ち悪くて好きじゃない。
例えば、胃に入れる管のこと、日本語では胃管。英語ならgastric tube。
でも、病院では何故かマーゲンチューブなんです。
ドイツ語のマーゲン(=胃)に英語のtube(=管)を合わせて作った日本独特の言葉です。

医療用語はただでさえ分かりにくいのに、こういうのがあるから更に分かりにくいんだと思うんですよねぇ。。。

Mar 25, 2012

身の振り方

某所で女医の仕事について語る(?)機会がありました。
私が話せることなんてたかが知れているのですが、だけど、この機会をもらえて良かったな、って思いました。

というのは、他の先生の話を聞けたから。
先輩女医さんたちがどういう道を辿って来たのか。
女性が医師をやることのメリットとデメリット。
結婚はともかくとしても、出産・育児のタイミング。

先生曰く、
・女医さんの旦那さんの一番の条件は、女医さんの仕事に理解があって家事育児も協力してくれる人(笑)
・大学院というのは、研究にとって研修医時代のようなもの。育児は比較的しやすい時期とは言われるが、育児とかぶせてしまうと研究で成果をあげるのは難しい。
とのこと。

なんかちょっと眼から鱗が落ちたというか、今後のことを考えるきっかけになりました。
私は、自分の夢をつかむのは自分、という信念で行動してきています。
でも、改めて、自分の将来について考え始めました。

最終的にどこでどんな医者になっていたいのか。
臨床と研究のこと。
留学のこと。
大学院や結婚出産のタイミング。

うーん。

Mar 24, 2012

mask bagging

今日、後輩の話を聞いていて、医者になって使えるようになったものの一つに、ジャクソンリースがあるなぁ、と思いました。
1年目の最初は、感覚が全く分からなかったんですよね。気づけば、今は毎日使ってる。ほんの小さなことだけど、こういうのの積み重ねで成長して行くんですよね、きっと。

bag valve mask(BVM)、つまりは口に当てて呼吸を助けてあげるのに使う器具は、大きく分けると2種類あるんです。

①自己膨張式 アンビュー


これは、学生のときからなじみのあるものです。
何の技術もいらない、というと語弊があると思いますが、基本的には誰でもあんまり理解してなくても使えます。
救急の勉強会の多くでもこれを用います。

左側に写ってるマスクを患者さんの口にあてて、真ん中の風船みたいなもの(バッグ)を押せば空気が入って行くという、極めて分かりやすい構造です。
この風船は弾力のあるもので、押した後は勝手に膨らんできます。(=自己膨張式)。

医療ガスなどをつながなくても、周りの空気を取り込んで勝手に膨らむので、どこでも使えます。
ただし、高濃度酸素を投与するのには向かない(空気と混じってしまう)ので、リザーバーを付ける必要があって(酸素をためておけるように、袋をバッグの後ろ側に取り付けておく)、それでも細かい酸素濃度設定はできませんし、フリーフロー酸素(酸素を口周りに適当に流しておくこと)は難しいです。


②流量膨張式マスク ジャクソンリース
一方で病院で多く使われているのはこちらです。
麻酔科も小児科もICUもみんなこれ。

右側に写ってるマスクを患者さんの口に当て、緑のバッグを押して空気を送ります。
なのですが、 見ての通り、弾力の無いものなので、医療ガスの空気なり酸素なりにつながないと使えません(=流量式)。

その代わり、バッグが柔らかいタイプなので、どれくらいの圧力をかけて押すかを簡単に調節できますし、押すのにどれくらい硬いのかも実感できますし、PEEPをかけることも簡単です。
高濃度酸素が流せますし、酸素濃度を調節したものをそのまま流せます。

ただし、ちょっとしたコツが必要で、医療ガスにつなぐので流量とリーク量を調節しないと、バッグが膨らみすぎたり膨らまなさすぎたりがあります。
慣れてしまえばこっちが圧倒的に使いやすいんですけどね。



医者として当たり前といえば当たり前で、学生の時は研修医とか上の先生が言ってましたけど。
流量式の方がいいって言って使えるようになったのも2年前と比べたら進歩。

Mar 21, 2012

リスク

先日、某先輩に聞かれました。
「この子、家に帰したら危ないかも、と思う子はどうするの?」

確かに、います。
この子を家に帰すの不安っていう子。

自分の子がかわいくない人はいない、と信じてはいますが。
でも、面会にあんまり来ないとか、面会時の態度とか、いろいろ見ていて。

ちゃんとかわいがってもらえるかな?
ちゃんと面倒見て育ててもらえるかな?
ちゃんと注意深くみててもらえるかな?

いろいろと思うことが多々あります。
でも、私たちは基本的に病院で待っているしか出来ません。
積極的に家での状態に突っ込んで行けません。

家での状況を把握して、適切な指導をしてくださるのは、やっぱり地域です。
保健師さんだったり、市役所の方だったり。

もともとNICUの卒業生たちは、保健師さんがフォローしてくれることにはなっています。
そのため、我々側も保健所にお手紙を書く(紹介状的なもの)ことになっています。
その時に、私たちはこういう不安を持っています、という話を伝えておくとより密にフォローしてもらえるのだそうです。
その話を聞いて、少しだけ安心しました。

子供たちがみんな愛情いっぱいで育って行けますように。

Mar 15, 2012

とあるお母さんが、初めて我が子(600g台)を抱っこしたんです。
ようやく急性期を乗り切って、我々としても少し安心したといったタイミングの子です。
お母さんはとっても大人しくて、あんまり感情表出のない感じの方です。
(だからこそ、むしろ私としては気になって、面会にくる度にお話をするようにはしてましたが)

抱っこして泣いてました。ただただ、涙が流れてた。
○○くん、呼吸も自分で頑張っていて呼吸器での補助はいらないんですよ、とか。
おっぱいの量も増えて来て、減っていた体重も少しずつ増えるようになってきましたね、とか。
状態としては悪いことはなくて、むしろ良い方向の話なんだけど。

実体験はないから、気持ちは想像の上でだけど、でもお母さんのその気持ちが痛いほど伝わってきた。
多分ね、保育器の中に入ってる状態で見てるのと、実際に抱っこするのって、抱っこした方が大きさも重さ(軽さ)も体感するんだよね。我が子が頑張ってるのをすごく感じるんだよね。小さく生んだんだって実感もするんだよね。

NICUに行ってまだ1ヶ月半の私だけど、それでも赤ちゃんたちの小ささには慣れて来てる。
でも、初めてお母さんの涙を見て、初心に返された感じがした。
赤ちゃんの頑張りと、お母さんの頑張りと不安と申し訳なさと。
ひっくるめてNICUだよね。

Mar 13, 2012

ライン

新生児はラインが入りにくい、という話は以前書きましたが。
新生児の点滴は、大人から考えるとありえないくらいの少量です。

大人だと、最小量でも20ml/hrとかで点滴をしますよね?
脱水とかあれば、250ml/hr以上だったりとか。
子供ですら、10ml/hrとかで点滴したりします。

でもでも。
超低出生体重児は、1ml/hr以下の世界で調節しています。
血糖が低いからちょっとGluを増やすのに、0.2ml/hr増やしたりとか。

体重によっては、投与できる点滴量はいろいろなのを合計して2ml/hrとか。
その中で血糖、栄養、薬、などに割り振ります。
計算がなかなか難しいんです><

入れる量がこんなだとしたら、当然、採血量だってそう。
例えば、50kgくらいの大人の人から5ml採血をするとすると、体重500gの子では、0.05mlな訳で。
500gの子から、1ml採血したら、50kgの人では100mlなんです。
恐ろしや。

しかも、新生児科が対象としている子は、体重差がものすごい。
400gくらいの子から4kgくらいまで。その差、10倍。
体重換算が非常に大切になるのが納得です。

Mar 7, 2012

説明文

患者さんに病気を説明することは、日常業務といえば日常業務です。
でも、逆に、病気の説明を受けることは、非日常です。
患者さんは医学のことなんて詳しくないし、基礎知識だってないのだから、分かりやすく説明する必要があります。

去年、妊婦さんたちの母親学級のパンフレットに挿絵を描かせてもらいました。
医学的な話も分かりやすく伝えたかったし、見よう・理解しよう、って思ってもらえるようなものにしたかった。
とても好評で、初めて趣味・学業が仕事に生きて、本当に嬉しかったです。
私が将来的にやりたいことの一歩を踏み出せた気がした。


そして、今週。
とある患者さんに病気の説明をするプリントを作ったんです。
2-3時間くらいかけて、その病気の症状・合併症・病気の原因・診断や検査・今後のこと、などを盛り込んで、絵などを交えながらA4 3枚にまとめました。
一部をお見せすると、こんな感じ。



そしたら、上の先生たちに褒めてもらえて、嬉しかったです。
というよりも、褒めてもらえたことよりも「分かりやすい」って言ってもらえたことが嬉しかったです。

分かりやすく情報発信していく人になりたいから。
「分かりやすい」という言葉が本当に嬉しかった。
短時間で作ったから、しかもパンフレットとかではなくて説明のプリントだから、学校の課題として提出したら微妙な部分が沢山あるのは分かってるけど、それでも、「分かりやすい」って言ってもらえたことが嬉しかった。


忙しくても、少しずつでも、こういうことをやっていけたら嬉しいな、って思いました。
もちろん、先に医学的な知識技術を身につける必要があるのも分かってて、その努力が今の私には一番必要なことも分かってはいます。
それとは別に、患者さんへの分かりやすい情報発信、よりよい治療や子育てが出来る支援が出来るようになりたい。

Mar 5, 2012

流産と早産

法律的には、境目は22週0日です。
21週6日までは流産、22週0日になったとたんに早産です。

でも、医学的にはその数時間で変わる訳では有りません。
当然、22週台前半は予後が厳しいです。
生存率だけで言っても、半分以上となってくるのは23週後半以後と言われています。


つまり、22週0日に出産に至ってしまった場合。
初期蘇生も難しいかもだし、蘇生できても急性期を乗り切れないかもしれない、まして急性期を乗り切れたとしても完全ん後遺症無くintactに退院できることは難しいかもしれない。

例えば、26週で何らかの要因(母体要因、胎児ジストレス)があって妊娠継続が厳しければ、緊急帝王切開で出してあげます。
でも、世界的にも22週では積極的に出してあげることはしません。出さないのと出すのとで厳しさが変わらないどころか出した方が厳しいかもしれないから。
どうしても妊娠が保たなくて経膣分娩に至ってしまった場合には仕方がないですけど。

法律的には線が引けても。医学的には線は引けません。
赤ちゃんは徐々に成長し、徐々に外の世界で生きて行く準備をしていくのです。
医学が進歩したとは言っても、手助けできる限度があります。
改めて現在の限界を考えさせられました。

Mar 2, 2012

ダメ、絶対

とかいう標語ありませんでしたっけ?
でも、ホント、「ダメ・絶対」です。

ママが1日60本のタバコを吸っていたという赤ちゃん。
週数に比して、とってもとっても小さく生まれました。
しかも、タバコによると思われる血流不全があって、細いくねくねした血管しかなくて点滴に苦労するという。

タバコの害を目の当たりにし、改めて、タバコの恐ろしさを実感しました。
タバコ、赤ちゃんに悪いのも当然ながら、子供たち、大人、みんなにダメです。
良いことなんて一つもない。

これをお読みの皆様。
タバコは絶対にダメです。

妊婦さんが吸うのも言語道断だけど、パパや他の家族が吸っていても、受動喫煙で結局影響を受けます。分煙でもダメなんです。禁煙してください。

一人でも、タバコの害を受ける赤ちゃん、子供たちが減りますように。

Mar 1, 2012

負担

NICUでの研修を始めています。
今月までは研修医という立場、来月からは同じ職場で小児科医となります。

今のうちに、いろんな子を診ておきたいという気持ちがあることもあり、入院の子が来た時には、その時に私が急性期の大変な子を担当していない限りは名乗りをあげてます。
もちろん、結局は急性期の子が少し落ち着いたタイミングで次の担当の子を取るので、私がすごく多い訳でもなく、バランスよく各グループに割り振られてますけど。
 (誰かが生まれたり搬送になったりした場合には、みんなで初期処置をして(処置をする人、オーダーを入れる人、体重換算で輸液その他を計算する人、などけっこう人手は必要なのです。)、翌日になってからprimaryの担当医が決まります)

だけど、最近思うんですよね。
私が診たい!って担当させてもらっても、結局の所、私の頭や技術じゃ全くもって足りないから、上の先生におんぶにだっこで頼ってる状態。
結局、私が担当させてほしいって言うことが上の先生に負担をかけてるんじゃないか、って今日ふと思ってしまって。

しょうがないとは思うんです。
最初の頃はどうしたって一人じゃ診れない。
そうやって成長して行くんだとも思うんです。
でも、上の先生たちの忙しさを見ていると、自分の出来なさがどうしようもなく悲しく申し訳なくなる。
早く成長したい。