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Jun 26, 2012

「かわいい」

我が子をかわいい、と思う事。
当たり前と言えば当たり前。

なんですが。
今日、私、お母さんの「かわいい」という一言がものすごくものすごく嬉しかったです。

400g台で生まれて、頑張って少しずつ大きくなって来ている我が子(まだ500g台)を見て。
今まで、「小さい」、「触るの怖い」、「大丈夫?生きてる?」などの発言ばかりだったお母さん。

今までも何回も面会には来ていたのですが。
今日、初めて。
面会して、今の状態を説明したり、抱っこの準備をしてもらっていた時。
クベース(保育器)の中の我が子を見て、「かわいい」っていう一言が出ました。

嬉しかった。
本当に嬉しくって、思わず息を飲むかと思ったほど。
「かわいいですよね」って返した私の顔はきっと満面の笑み、そして、やや驚いて目が潤みそうになっていた顔だったに違いないと思います。

分娩前も、分娩後も、沢山の試練があった子です。
ご両親が愛着形成をしてくれるのかどうかが不安だったこともあります。
今後もまだまだ沢山のことがあると思います。

だけど、お母さんの「かわいい」の一言は絶大です。
今までの苦労が飛ぶ気がしました。
今後も精一杯頑張ろうって思えました。


ご両親が我が子をかわいいと思える、という当たり前のこと。
だけど、その当たり前が当たり前じゃない世界もある。
「かわいい」という一言をこんなにも嬉しく感じたことはありません。
NICUはやっぱり大変だけど、苦しいけど、でも明日からも頑張れると思う。

Jun 23, 2012

蘇生

私、基本的にあんまり夜はひきません。
なので、今まで当直中に入院が来た事がありません。

いえ、正確に言うと、一度だけ入院が来たんですが、その時は入院が分かった時点で先輩がたまたま院内にいてくれたので、「一人で」入院を取った事がありません。
双子が生まれるから、と夜中に呼ばれた時は片方を私だけで蘇生をしたけど、隣で上の先生がもう一人を蘇生していたから困れば聞ける状態だったので(実際は聞かずに1人で蘇生したけど)、丸っきりの「一人で」の蘇生もありません。


当直中。23時過ぎ。
「2時間くらいで生まれます。」という電話が産婦人科からかかってきた。

具合が悪そうな事が予測されていた子。
スムーズなら経膣分娩を、ダメそうなら緊急帝王切開にするという予定でした。

部長に確認したら、「S先生かA先生を呼んだらいいよ」、と。
まずは看護師さんに入院が来る事を伝え。先輩に電話したら留守電。
あと1時間半以上あるし、準備しながらもう1回電話しようとしていた矢先、産婦人科から電話。
「もう生まれます!!立ち会いに来てください!!」

入院の準備も(看護師さん側はお願いしたけど、私側のorderやら採血準備やら)が間に合わない。
そして、何より、今からもう一回先輩に電話しても間に合わない。
看護師さんに「S先生に電話してください!!」ってお願いして、産婦人科病棟へ走る。


スムーズに経膣分娩で生まれました。
でも、やっぱり具合が悪い。
初めて一人で蘇生をする。

お願い、脈戻って。
お願い、泣いて。
お願い、baggingに反応して。

蘇生出来なかったらどうしよう、ということが初めて頭をよぎりました。
baggingをして脈は戻ってきたものの、泣かない。pink upしてこない。ぐったりしてる。

必死でした。
飲んだ羊水を吸引で引いては酸素を使いながらbaggingしばらく続けて、を繰り返し。
O2を60%まであげてきた段階で、心疾患の可能性もある、と頭をよぎりました。
挿管も必要になるかもしれない、でも今の私はまだ挿管に踏み切る閾値は高い、有効なbaggingをする方がいいし、とか考えながら。
ようやくpink upしてきて、このまま続ければ大丈夫だ、って思えた頃。
先輩が到着してくれました。

入院にして、処置して、ご家族に説明して。
呼吸はなんとか落ち着いてくれ、エコー所見とX線は微妙。
上がってきた血液検査のデータを見た段階で、これは重症だから転院になるかも、と。

先輩は病態も把握してて、私にも指示を出しながらテキパキと必要なことを進めてて。
改めて優秀さを目の当たりにして。
自分のダメさを実感して。
頑張らないとな、って。

年次が違うにせよ、先輩は1人であの子を任せられると部長に判断されていて、だからこそ、呼ぶように言われた訳で。
そういう風になりたい。上の先生たちの負担を減らせるような働きが出来るようになりたい。
前に進むのみ。泣いてる場合じゃない。


Jun 12, 2012

辛い

仕事が、ではないです。
親御さんの言葉が辛くて、何も言えませんでした。

私たちが予測している予後と、親御さんが思っている予後があまりに、本当にあまりにかけ離れていて。
この数ヶ月で今後のことを少しずつ少しずつお伝えして、今後必要となるであろう処置に関しても少しずつ言葉を出して来ているのですが。
現実逃避なのか、実際に理解していないのかは分かりません。
私の伝え方が甘いのかもしれません。

でも、親御さんの口から出てくる言葉たちは、私の心に刺さりました。
私たちは厳しい(しかも、かなり厳しい)予後を予測しています。
今後必要となる処置や手術も多いだろうことを分かっていて、少しずつ言葉は出しています。
だけど、親御さんが望んでいるのは、障害が何も無く元気に育ち、幸せな結婚をしてくれること。

それがいかに現実離れしていることなのか、Nでの経験が浅い私ですら分かります。
最悪を想定をしてその時のことを予習はしておくけど、基本的には物事を良い方に良い方に考える私ですら、親御さんの望みがどれだけ厳しいかは分かります。

だから、安易に肯定はできない。でも、あまりに悲観的なことばかりお伝えして、赤ちゃんに対する愛着形成が出来なくてもいけない。
その狭間で、一つ一つの言葉が心に重く伸しかかります。



赤ちゃんに元気に、愛情いっぱいのおうちに退院してほしい、というのが私の願いです。
もちろん、少しでも予後がいいことを望みます。
そして、同時に、家族にちゃんと愛情いっぱいで受け入れてもらえることを望みます。

予後が悪いであろうという事実だけでも、まだ今の私にはかなり辛いです。
赤ちゃんの事、そして親御さんの事を思うと、本当に辛いです。

そして、親御さんの望んでいる未来と現実がかけ離れているとき。
そのギャップも辛いです。そのギャップを乗り越えてちゃんと愛情いっぱいの家族のもとに退院できるのかな、どうしていったらいいんだろう、ということを考えるから。

だから。
親御さんの言葉は心に刺さります。
時間をかけていくしかない。

Jun 10, 2012

夜中のcall

昨日、初めて夜中に呼ばれました。
私が次の当直から一番遠かったから。

あいにく、昨日は、朝から仕事→仕事が終わった後に上の先生たちの前での入局挨拶で大学へ→先輩、後輩とおしゃべり→せっかく集まったからと同期で飲み会、という日でした。
そして、私は疲れてたし電車に乗ったし(乗り物酔いがあるので。薬は飲んでたし、だからウーロン茶ばっかり飲んでたけど。)、昨日中に帰ることは断念して実家に泊まる予定でいたんです。

そしたら、0時半に病院から電話が。
「双子が生まれることになったんだけど、今から来れる?」

一瞬悩みました。
終電は既になかったから。
でも、勉強になるし、私が断った時に誰が呼ばれるかを一瞬考え。
(金曜と日曜の当直の人は呼べない。4年目の先輩は先日呼ばれたばっかり。部長の先生を呼ぶほどの子ではない。呼ぶとすれば、昨日今日がお休みの7年目の先輩だけど月曜当直だし。どう考えても私が一番当直から遠いし、一番若い。)
「行きます」と。

実家にいた事が幸いでした。
親の車を借りて、一路病院へ。
帝王切開にちゃんと間に合いました。

そのまま朝5時過ぎまで仕事。
さすがに、疲れてた+乗り物酔いで軽度ふらつきあり、で車を運転する気力はなく歩いて自宅に戻り、寝て、今から車を取りに行きます。
私にしては頑張ったと思うのです。

でも、そのおかげで、当直の時に、一人である程度の子までは見られる自信は少しつきました。
自分の当直の時は全くひかないので、一人でこれくらいまでなら見て良いよ、って言われてる子たちを、果たして一人で見られるのかが今まで全く想像つかなかったんです。
一人で当直中に入院があったら、っていうのが少し実感できたかな。
私が少しでも自立して、少しでも頑張れれば上の先生の負担も減るから。
大丈夫。来月からも生きていく。


<追記>
実は私の出生時刻も真夜中なんですよね。
午前0時50分に緊急帝王切開で出生。
夜中に生まれるということは、こういうことなんですね。改めて実感。
まぁ、私の場合は在胎42週0日、出生体重2970gありましたが、母の話を総合するにおそらくは早期破水+感染があったと考えられ、どうもクベース(保育器)に入れられていたみたい(笑)
産婦人科だけじゃなく、小児科の先生にも夜中にお世話になっている気がします。
20数年も前の話だけど、今更ながら、ありがとうございました。

Jun 9, 2012

退院

私が今の職場に行って、一番最初にとった長期入院さんが、本日ついに退院しました。気づけば二番目にとった長期入院さんの方が退院が早かったんですよね。

一番最初ということもあるし、ものすごく手をかけてきた子だし、栄養計画とかもすっごく考えてマネジメントしたし、沢山泣くから抱っこしながらカルテ書いてたこともあるし、何よりすごくかわいいし、私にとっては思い入れの強い患者さんです。

体重が増え始めた時も嬉しかった。退院で大丈夫って思えた時も嬉しかった。
ご家族に今週末退院でいいと思いますよ、というお話をした時のお母さんの嬉しそうな顔も嬉しかった。
今日の退院は本当に本当に嬉しかった。

退院前のお話も、私がメインでさせてもらいました。
入院中にした治療の事。退院後の注意事項。退院後の栄養計画と内服の話。予防注射の話。
さすがに一人でお話して何か抜けても嫌だったし、当直明けだったオーベンの先生に残っててもらって一緒に立ち会ってもらいましたけど。そして、途中分からない事は先生の顔を見て助けてサインを出しまくってたり確認したりもしましたけど(>_<)


オーベンの先生に言われました。
「お話完璧だったよ。」「退院までのマネジメント、全部先生が一人でやったんだから。ちゃんと出来てるよ。」
全然なんです。本当に、全然。多分ね、私に自信を付けさせるため、7月以降にちゃんと生きていけるように布石を打っているんです。

4月からそうだから。
補助輪をとって普通の自転車に乗る練習をしていて、後ろを持っててもらって、「離さないでね、離さないでね」って言ってて、気づいたら手を離されていてふらふらしながらも乗ってる、みたいな気分です。
でも、手を離して遠くにいる訳じゃなくて、ちゃんと自転車の後ろにはいてくれてる。
好きにさせてくれてるんだけど、実はカルテもちゃんとチェックされてる(笑)
まぁ、私も、「こう思うからこうしようと思ってるんですけど、それでいいと思いますか?」って聞いたりとか、カルテもチェックを入れてもらえるように、カルテには考えている事を全部書いてますけど。)

来月からが不安だけど。でも、他の先生たちもいるし、きっと大丈夫。
一人でも多くの患者さんが笑顔で退院できるように、頑張ります☆
みんなNICUで長い期間頑張った子たちだから退院の瞬間って、本当に嬉しいです。
あの笑顔があるから、また頑張れる。
(まぁ、退院した後もいろいろ大変で、小児科にお世話になる子たちもけっこういますが)

Jun 7, 2012

超未の日

というものが世の中にある訳ではありません。
でも、うちの病院のNICUではなぜか毎年6月6日には大物の超未(超低出生体重児=出生体重<1000g)が生まれることが多いらしいです。

が。
今年は6月6日は私が当直。。。。
あれ?

という訳で、少し前から部長の先生が6月6日は超未の日だからねーと妙に嬉しそうに(?)6月6日生まれの子のリストを見せてくれたりしていました。

昨日、上の先生たちが帰るときは、「大丈夫です。私の強運さが勝ちます」とか豪語したものの。
実は内心少し心配はしていて 、どうなることかとヒヤヒヤしていましたが。
入院中の子が具合悪かったり、低血糖起こしたり、ということはありましたが、超未ちゃんは生まれませんでした。
私の勝利(笑)

Jun 6, 2012

ルート

赤ちゃんの点滴。
手はもちろん、足にも入れますし、臍の緒を切った後のところから臍カテを入れることもあります(臍カテはけっこう太めのものが入るので、週数の浅い子たちならけっこう使う)。
もうちょっと大きい、いわゆる乳児、と呼ばれる子たちであれば短期間なら骨に刺す骨髄針を使うこともありますが、NICUというより救急の現場の話。

もちろん、元々血管が細い赤ちゃんたちですから点滴は大変です。
週数の浅い子たちは肌がゼリーみたいになっていて、私にとってはまだまだ難しいです。
でも、それよりなにより私が最近大変で困っているのは、長期入院で沢山点滴をさされている子たち。
血管がつぶれてしまっていて、まっすぐな血管がすでに残っていないことが多いんです。

今私が担当している子でも、既に点滴ラインを入れられる場所がなくなってきている子がいます。
そうなることが予測されていたため、今まで極力点滴は手に入れるようにしてきて、足の血管は温存してきました。
緊急時に点滴が入らないと困ると思って。

でも、もう足の血管を温存出来なくなって来ているくらい手の血管がありません。
ついに足にもさし始めました。この先どんどん血管が無くなってくることが目に見えています。
でも、退院の見込みはまだなくて、先は長そうな子なんです。
私の不安材料がまた一つ増えてしまいました。

Jun 5, 2012

早寝早起きは三文の得

本当だな、って実感中です。
夜早く寝ると肌の調子が良いし。
朝早く起きると朝のバタバタが無くて済むし。

朝早く起きて、少し早めに出勤して。
・患者さんの夜の状態を把握。
・その日のオーダーや予定を確認(前の日に帰る前に確認してリストアップしてるけど、患者さんの状態に合わせて再確認)
・採血を早めに始める(=つまりは早めに終わり、次の仕事に取りかかれる)

このことでその後の一日の過ごし方に少しゆとりが出来て仕事が楽になるんだ、って先週にもなって実感。
当たり前のことなんだけど。

疲れてる訳ではないと思うのだけど、気を抜くと朝起きれなくて、早寝遅起きになっちゃう(笑)
でも、極力早めに起きて早めに出勤して出来るだけ余裕を持って仕事をしたい。
上の先生にかけてしまう負担を減らしたいし、余裕があれば他の仕事だって少しは出来るかもしれない。
いっぱいいっぱいさを脱するべく。自立に向けて。早寝早起き、実践したいと思います。
有言実行☆

Jun 2, 2012

写真

私の趣味:絵を描くこと、写真を撮ること

仕事に生かされることも少しずつ出て来ている今日この頃。
今週、予想以上に患者さんのママに喜んでもらえて嬉しかったことがありました。

とある赤ちゃん(もうすぐ4ヶ月、修正3ヶ月) が笑った瞬間の写真を撮ったんです。
月齢的にも、そろそろ笑ってもおかしくはないくらい。
泣く理由も、お腹がすいたからではなく、かまって欲しいから、に変わってきつつある月齢です。
夕方。泣いていたその子に話しかけたら、泣き止んで笑ってくれて、その瞬間を撮影しました。

ママへ、って書いて写真をベッドサイドに置いておいたらすごくすごく喜んでくれました。
実はママは面会中に笑った顔をまだあんまり見たことが無かったそうで。
喜んでくれたママを見て、私も嬉しかった。
たった一枚の写真だけど、それで喜んでもらえるって嬉しい。


そして、実はこの一枚、他の先輩先生たちにも看護師さんたちにもとっても好評でした。
普段滅多に褒めない先生が、「これはいい。ベストショット!」って言ったくらいですから(笑)

私にしか出来ない仕事、なんて無い。
でも、私だからこそ出来ること、はあると思う。

病気の説明を分かりやすく図解したり、赤ちゃんの様子を写真でお伝えしたり。
そんな部分を活かしつつ、「医学」の部分の研修をきちんと積んで、患者さんに安心してかかってもらえる小児科医/新生児科医になりたい。

Jun 1, 2012

決意

私は、今の職場にくる時に、とある決意をしました。
それは、言い訳せず逃げずどんなこともちゃんとやる。
当たり前のことなんですけどね(笑)
でも、言い訳を並べて頑張らなかったことの多い私には大きなことです。

そして、言い訳の中でも大きめのもの。
私、乗り物酔いが酷いです。電車でもダメです。

これを言い訳に、Drカーも、転院搬送も、研修医の時は極力乗らなかったです。
地震の後の余震酔いで半日休んだこともあります。

でも、NICUに来る時に決めました。
迎え搬送だろうが、転院搬送だろうが、乗る。
乗り物酔いを言い訳に仕事を制限したくないし、それで周りに迷惑はかけたくない。

その為に、ここに来る半年前から、いつもなら自転車の距離も電車に乗るなど、気持ち悪くなりながらも少しでも慣れる為に、乗り物に乗る練習(?)もしました。
もちろん、そんな簡単には治らないので、未だにここから都内の大学に勉強会に行く時に電車で気持ち悪くなることもしばしばですが。。
でも、めげずに、薬を飲みながらも頑張ってます。

そして。
実は、今日、ここに来てから2回目の転院搬送に行きました。
朝から多めに薬を飲んで、帰り電車で帰れるように私服を持って。
帰るのが少し遅くなっても大丈夫なように、朝もいつもより一時間半早く行って、他の担当患者さんのことをちゃんと終わらせて、他の先生に申し送って。

やっぱり目が回ってしまいましたが、無事に送り届け、電車で帰院し、残りの仕事を大まかに終わらせ、1時間ほど横になり。酔い止めや眩暈止め、頭痛薬などを飲みたして、今夜は当直です。

帰りが電車だったこと以外は、転院搬送も病棟業務も、当直も。
仕事をちゃんとできたことで、少し自信がつきましたし、決意が実践できて嬉しかったです。

乗り物も、苦手な分野(脳波とか)も、ちゃんと真正面から頑張る一年にしていきたい。