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Aug 31, 2013

カンガルー

カンガルーケアミーティングというものがありました。
「カンガルーケア」というもの、日本ではだいぶ勘違いされている気がします。

今の一応の言葉の定義。
カンガルーケア=状態の安定した早産・低出生体重児の子たちを対象にした、お母さんと肌と肌が触れ合うように抱っこしたもの。
正期産の子の出生直後の母と子の接触は、早期母子接触(early skin to skin contact)と呼ばれます。

まず、日本ではこれらがごっちゃにされています。

そして。
カンガルーケアには、安全に行うための方法というか、ポイント、があります。
ただただ、抱っこをすればよいというものではありませんで。
正しい姿勢もありますし、そんな姿勢で長い時間いたら母の手も辛い訳で、それをサポートしてくれるカンガルーグッズもあります。
早期接触でも、必ずモニターなり、医療者の目が届く状態で始めるように、とかね。

で。
このたび、カンガルーケアミーティングに行って来た訳です。
私の旅日記報告はともかくとして、他の先生方のお話はかなり興味深かったです。

ちなみに。
カンガルーケアってね、赤ちゃんの状態が安定したり、睡眠の質が改善したり、脳の発達に良い影響を与える(脳の容量ということもだし、情報伝達という意味でも。)、というデータが出始めているようで。
正しい情報と適切な方法が伝わって広まって行くといいな。

Aug 30, 2013

統計

苦手なんですよね。

言いたい事とか、分からない疑問とかがあって。
それに対する答えを求めていて。
論文を見つけたとします。

その論文が、果たして、実際に本当に有意なのか、数字の魔法にだまされているだけなのか。判別が分からない。

さらには。
自分で何か統計を取ったりとか、さらに苦手。
条件をどう揃えて、どういう形でデータを集めればいいのか。
難しいである。

という訳で。
困った私に手を差し伸べてくれた先輩がいるのです。
今の病院に昔勤めていた、同じ医局の大先輩。統計が得意なのだそう。
困った、ということを今の病院の先輩が橋渡しをしてくれて、メールで何回か相談していて。本日、実際に面談をしていただきました。

こんな、実際に教えていただけるとは思っておらず。
なんとありがたいことでしょうか。
助言に従い、データを整理してみようと思います。
何らかの事をいえれば嬉しいな。

Aug 28, 2013

モテ期

今、人生最大のモテ期なのではないかと思う。
ただ、残念ながら、みんなだいたい年齢が一桁。(笑)

小児科に来てから、やたらと患者さん(と親御さん)に好かれるのです。
検査の時に、「はやたま先生と手をつないでいないと嫌だ」とか。
「はやたま先生大好き!また外来来ていい?」とか。
(いや、嫌いであっても、来てもらわないと困るのだけど。笑)
歩いててすれ違ったら、「はやたま先生!」って近寄って来てくれたりとか。

うーん。
若い女性医師だから?看護師さんみたいなものだから?
というアドバンテージはあるのだろうな。

という以外には。
子供本人にも極力分かりやすく説明して何が起こるか(検査とか、今後の治療とか)は理解してもらうようにしている。
怖い、という時には、付き添っていてあげるようにはしている。(もちろん、時間が無いと無理だけど)
コンプライアンスを本人自ら改善出来るように、話を持って行こうとはしてみている。

だからかな?と信じてみようと思う。
子供にモテるというのも、この仕事をしていく上では悪いことではないはずだ。

Aug 25, 2013

インスト

本日、助産師さんたちを対象にしたNCPR(新生児蘇生法)の講習会がありました。
インストラクターとして参加させてもらいました。

実感。
知識も実体験もゼロな方に教えるのは非常に難しい。

学生時代を通じて、今まで教えて来たのは、医学生(しかも、救急とかに興味がある学生)、医者、看護師(しかも、普段から蘇生に慣れている方々)が多い。

分かっている人よりも分かっていない人に教えるのが難しいのは当たり前といえば当たり前なのですが。
それにしても、BLSはともかく、医療的知識がかなり必要な内容を、全く知らない人に教えるのって厳しい。

いえ、良い訳してはいけませんね。
教え方がまだ出来ていないということです。

今日の目標は、全員がmask baggingと胸骨圧迫を正しいタイミングで正しい手技で行えること。これだけは達成出来たと思います。

が。
時間は足りなくてシナリオは最後まで行き着かなかったし、あまりの出来なささに愕然とした受講生がいたけど、1:9で教えていたため、細かいフォローが出来なかった。
今日の講習は失敗です。

流量膨張式を使ってみたり、BLSやACLSと比べても煩雑なNCPRを、全く予備知識がなく、bagging経験ゼロ(自己膨張式も含めて)な人たち9人にシナリオを入れて2時間で終わらせるって、インスト駆け出しの私には難しかった。
教え方ももう少し上手くなりたいなぁ。そして、あの煩雑なNCPRのアルゴリズムをもう少し明確に分かりやすく伝えられるようになりたいなぁ。

Aug 20, 2013

奇形

奇形。
あんまり好きな言葉ではないです。
なので、患者さんに説明する時には使いません。
医師どうしで話をする時には使いますけど。
大奇形、小奇形、心奇形、腎奇形、などなど。

最初に説明をしたときの言葉は、患者さんの中に残ります。
しかも、説明した内容とは違うように解釈したように記憶します。

仕方が無いことだと思います。
内容は難しいし、ショックなことがほとんどですし。

だからこそ、言葉は選びたいんです。
自分が嫌いな言葉はやっぱり使いたくないし、患者さんにとって残りやすいキーフレーズは使いたくないです。

例えば、「奇形」があった時に。
今の私は、患者さんには「普通の◯◯(心臓、腎臓、など部位)はこういった形をしているのですが、●●ちゃんの◯◯はこういった形をしているんです」と絵を並べて説明をしています。
基本的には、お話しする内容は、言葉以外にも絵や図を入れて書いて説明をして、そのままお渡しするようにしています。
これがいい方法なのかは分かりませんが、今の自分にやれることはやっているつもり。

やっぱり、患者さんへの説明は難しい。

Aug 18, 2013

22週

今日、当直明けにNICUに立ち寄っていました。
(まぁ、ちょくちょくNICUにはいるのですが。笑)
その最中。

救急車内で22週の子が生まれてしまって搬送されてくる、と。
蘇生に向かうNICUの先生たちについて行きました。

私が見た時点で生後10分。
自分で息もしていないし、脈もない。
そして、久しぶりに見る小ささ。

人工呼吸と胸骨圧迫をすぐに始めて。
挿管して、そこから直ぐに薬剤投与。
臍からカテーテルを入れてラインを確保し、薬剤投与。
わずかに取れた血液で血ガスだけは検査。

私は、というと。
NICUの先生たちの手はあるし、外回りの手伝いをしたかった。
物品を出す。 薬剤を調節する。ガスを測りに走る。

それだけのことなのに。
自分の忘れているっぷり、出来なささっぷりに愕然としました。
薬剤投与量が出てこない。出す物品が欠けている。

やっぱり、どんどん忘れて行っているのだ、ということを実感しました。
小児科の事をどんどん頭に入れて行かなくてはいけない。
でも、新生児のことも、特に蘇生のことは、忘れたくないし、忘れてはいけない、と思うのです。

頭のキャパシティーを増やしたい。

Aug 17, 2013

お盆

世の中には、お盆休みというものがあるそうですね。
何人かの患者さんに、「お盆でも病院はやってますか?」と聞かれて気づきました。

私たちにはお盆もお正月もありません。
病院は年中無休です。

しかも、年末年始やゴールデンウイークなど、祝日の場合は病院も休日体制ですが、お盆は普通の平日。まったく自覚がありませんでした。

でも、クリニックの先生方は一人でされていることも多く、お休みのところがほとんどです。
そうすると。普段かかっている先生がお休みだと、とたんに行く場所に困ってしまう子達が出てきます。

なもので。今週の外来は死ぬかと思う忙しさでした。
午前外来担当、午後は時間外担当、の日はヘロヘロになってました。
その日にそのまま当直でなくて良かった。

皆さん。
楽しい夏休み、くれぐれも事故や熱中症、夏風邪には気をつけてくださいね。
普段と違う、遊びに行った先や帰省した先、遊んで帰ってきて帰宅した時。
具合の悪くなりやすいタイミングは沢山あります。

遺伝疾患

世の中にはいろんな疾患があります。
疾患によっては、親御さんからお子さんへと引き継がれるものもあります。

それは、体質という形かもしれません。疾患そのものかもしれません。

その疾患がどういうものなのか、自分が将来どうなるのか、ということも大事なんだけど。
遺伝する疾患の場合、どう遺伝していくのか、子供はどうなるのか、ということも大切。
 想像を絶する、思いがあると思います。

それを上手に伝えられる専門家が、遺伝科の先生です。
どういう疾患?この子の将来は?次の子は?孫には?
親御さんの疑問に分かりやすく、正しく説明していきます。
そういう専門家です。隣でお話を聞かせてもらう機会が何回かありましたが、やっぱりすごいです。

私が今、外来で診ている子も、こんな遺伝の問題にぶち当たっています。
まずは、知っている遺伝の先生に相談するところから始めてみます。

Aug 3, 2013

診療所

うちの病院には、附属の診療所があります。
簡単な検査しかできない、入院の出来ない、診療所。
いわば出張所みたいな?都内と違って、病院に行くにも一苦労、周りに小児科なんてありません、みたいな所もまだあるっぽい。

そこで具合が悪い子たちは、本院であるうちの病院に送られてきます。
普段は、常勤の上の先生がいます。私たち若手は、送られてくるお子さんを診るだけです。
でも、普段の先生がお休みの時は、若手も行きます。

今週、私も診療所に行って来ました。
先輩先生たちはね、重症な子はあんまり来ないし、来たらここ(病院)に送ればいいし、夏だからあんまり患者さん多くないし、いいよ、って言ってたんです。
で、実際に行ってくると。
あまりの孤独感に悲しくなりました(:_;)

普段は、困ったら隣の診察室に先輩はいるし。
他の科の先生に聞く事も出来るし。
普段がどれだけ恵まれているのかを実感しました。

開業するって孤独な戦いなのかな、ってふと思ったりしました。
(計画もそんなつもりも無いけど)

経過

医療者にとっては当たり前なんだけど、患者さんにとっては当たり前ではないことの一つ。
「経過」

例えばね、病気というのは時間経過と共に症状が変わってくことがある。
最初は熱だけ→喉が赤くなってくる→ブツブツが出てくる→広がって特徴的な発疹になってくる、など。
もしくは、最初はウイルス感染→長引いているうちに細菌感染症を合併、とか。

その場合、熱だけの時には当然ながら診断は付かないのです。
もしくは、違う診断名になりうる訳です。
なので、時間経過を見ることが大切になってきます。

分かってはいるんだけど。
患者さんにとっては、違う。
医者に行ったのに分からなかった、誤診した、ということになる。

そして、実は。
最初に分からなかった医者も悲しいんです。申し訳ないんです。
特に、今の私にとっては。


昨日、私が救急外来で診て、咽頭炎による発熱と診断した子が。
半日後に、別の診断で入院となりました。
うーん。普通の風邪の類とかだとそこまで凹まないのですが、今回はオペになったこともあり、凹みました。ごめんね、最初に全く分からなかったんだ。。。

先輩方は、みんな、この子は分からなかったと思う。
他の要因が明らかにあるから、分からないよね。
症状が全然なかったから、 疑えないと思う。
あの状況の子で疑うのなら見当違いでしょ、他を疑うでしょ。
とか、いろんな事を言われた。

うーん。

Aug 2, 2013

CPA

CPA = cardiopalmonary arrest = 心肺停止

小児科に来てから、CPAに立ち会った事は1回しかありません。
私が立ち会わなかった事例を合わせても数回しかありません。
ただただ、唖然としてしまって、言われたことをしようと試みて終わりました。

そして。そんな昨日。
当直でした。7時半過ぎまで、医局で先輩とお話をしていたんです。
7時半過ぎに嘔吐の子と、乳児期早期発熱の子が来て、救急外来に下りて。
診ている最中(ちなみに、二人とも入院になりましたが)のこと。

8時ちょっと前。救急救命科の先生が私の元へ来ました。
「CPAの子が来るから、手伝ってください」

話を聞くと、基礎疾患のある3ヶ月の子だ、と。
一瞬、頭が真っ白になりました。私一人じゃ無理だ。。。

(うちの病院では、hotlineは大人も子供もまずは救命科がfirst callとなります。救急車であっても二次救急以下は小児科や内科が診ます。
 ですが、救命科は大人の人が専門なので、小児、特に1歳未満の場合は小児科orNICUが呼ばれ、我々がメインでの加療になります。)

無理だ、と思ってまずした事。
ついさっきまで話していた小児科の先輩に電話をする。 が、つながらない。
別の先輩に電話する。  が、つながらない。
焦る。どうしよう、という焦り。

NICUの先輩に電話をしたら、つながった!
ちょうどカンファ中だったため、みんながいました。
「3ヶ月の◯◯病のあるお子さんがCPAで運ばれてくるんです!私一人じゃどうしたらいいか分からなくて、あの、」
ここまで言った時点で、「分かった」と。

児が運ばれて来た時、PEA(心臓の電気活動がわずかにあるだけの心停止)でした。
骨髄針を救命科の先生がトライするも入らず、挿管も出来なさそうな状況(というより、小児用ではなく、大人用しか無かった><)

というところで、先輩たちがかけつけてくれました。
ありがたかった。ようやく落ち着けた。
主治医の先生に連絡をするのもしていなくて、言われて初めて連絡をするという次第。

一人がラインを即確保、別の先輩が胸骨圧迫を交代、持って来てくれた喉頭鏡で私が挿管。
喉頭展開をした瞬間、目を疑いました。喉から先に多量のミルク。
その後も蘇生を続けてもPEAからAsystoleへ。脈は戻らなかった。

脈が戻らなくて、お看取りになって。
苦しい辛い。だけど、それ以上に、悲しかった。
私、小児乳児の蘇生を一人で立ち会えって言われたら絶対無理。
それを実感して突きつけられた感じ。

新生児の蘇生は最小限は一人でも出来ます。なんて言っても、立ち会う回数が非常に多かったし、人に教える機会もあるから、最小限はね。
でも、乳児、小児、って言われた時点で、ダメなんだ、ということが非常に良く分かった。一人じゃダメ。ライン取れる気もしないし、薬剤量の計算も一人じゃ怖い。
そもそも、CPAって言われた瞬間、頭が真っ白になった。
ダメだ、私。頑張れ。