Pages

Feb 25, 2011

牛乳

廊下を歩いていたところ。
患者さんSさんとすれ違いました。

「こんばんは」とすれ違ってから気づきました。
手に大きなコンビニの袋をぶらさげて嬉しそう。。。

嫌ーな予感がよぎりまして。
袋の中身を見せてもらったところ…
500mlの牛乳と、500mlのカルピスウォーターが出てきました。。。
「だって、今日暑かったでしょ?これでも飲んですっきりしようかと思って」と。


目を疑いましたよ。だってね。
SさんはCre9.6g/dl、Ccr5.0ml/minみたいな。
(Creは0.8未満程度が正常、Ccrは年齢とともに下がりますが、簡単な目安としては100程度が正常)
シャント作ってて、そろそろ透析導入か?っていう状態です。
当然ながら、病院食以外禁止なんですよ。

牛乳500mlなんて飲んだ暁には、緊急透析になっちゃうかも。
(牛乳は蛋白やらリンやらが含まれており、腎臓が悪い人にとっては良くないのです。)
もービックリしましてね。
没収ですよ、没収。

その前日には、別の患者さんからお煎餅取り上げたところだったんですけどね。
(ステロイド療法中で、高血糖の副作用が出ており、間食禁止中)
上の先生に、「そういうの見つけるの得意?」って聞かれちゃいました(笑)
いやいや、みんなね、ちゃんと守っててくれればそんな事態にはならないんですけどね。

Feb 21, 2011

シャントオペ

前回書きましたが。
血液透析を長期的に行っていくにはシャントが必要です。
短期的だけであれば、透析用のカテを入れて行うことも可能です。
でも、長期的にはそんなものを入れたままには出来ません。

そもそも。
透析を行うには、そこそこの量の血液が必要です。
でも、採血などで使うような、そういう表面に見えている静脈では、針をさしてもどばーっとは血は引けません。
動脈に刺せればいいですが、動脈は深いところにありますし、週3回させません。

そこで。
動脈と静脈をつなぎ(シャント)、動脈から静脈に直接流れ込む血流を作ります。
そうすると、静脈が太くなってきて、血流も豊富で、そこに針を刺せば透析に必要な血液を引くことが可能になるのです。

でも、シャントは作ってすぐ使える訳ではないので。
そろそろ透析、という患者さんにはシャントを作るオペ、というものが必要になってきます。
オペ、と言っても局所麻酔で行えるようなオペですけどね。

Feb 17, 2011

透析

皆様、「透析」ってイメージつきます??

透析は、慢性腎臓病末期(や急性腎障害)で働いてくれない腎臓の代わりに行うものです。
腎臓は体の中の老廃物を出したり、電解質のバランスを調節しているのです。
だから、腎臓がダメになると血液の中には老廃物が溜まり、電解質のバランスが崩れるのです。
だから、それを代わりに人工的に行って血液をきれいにするのが透析です。

透析、って言うのは実は2種類あります。
血液透析と腹膜透析。


血液透析っていうのは、俗に言う透析、っていうものです。
週に3回、1回4時間ほど行います。
そのうちまた書きますが、長くやっていくには「シャント」が必要になります。

血管に針を2本さして、血液を引いてきて機械を通します。
それで老廃物を出したり電解質のバランスを調節したりします。
仕組みはまぁ簡単に言えば、血液と透析液を半透膜で隔てて隣り合わせることで、その間で電解質や老廃物のやり取りがなされて、血液がきれいになる、と。


腹膜透析っていうのは、自分のお腹の中で透析を行うというものです。
主に夜間寝ている間に、”腹腔”に透析液を入れて透析を行います。
お腹の中だけど、腸管などの臓器の外側の空間に液体を入れます。
そして、”腹膜”という腹腔を囲んでいる膜を通して透析液と血液が接することで、その間で物質のやり取りがなされて、血液がきれいになります。


まぁ、いずれにせよ、食事の制限などもありますし時間も制限されますし、大変なことは大変なんですけどね。

Feb 14, 2011

腎生検

腎臓の組織を採ってきて調べる検査です。
方法は、腎臓に太めの針を刺して腎臓の組織をとってくる、というだけです。

といっても、普通の人には多分想像がつかないと思いますが。
腎臓というのは後腹膜臓器といって、背中側にある臓器です。
腰より上、背中の真ん中らへんの左右に1つずつあります。
だから、腎盂腎炎や尿路結石などなどでは、その部分をトントン、と叩くと痛いこともあります(CVA tenderness)

腎生検ではうつぶせになってもらい、エコーで確認をしながら、背中側から最短距離で刺します。
もちろん、麻酔はしますのでご安心を。


検査自体はこんな感じなんですが、注意点がいくつかある検査なんです。
まずは、腎臓というのは血液を濾過してゴミを尿として出す臓器なので、血流がとっても豊富です。
だから、検査後に出血をする可能性があるんです。

検査が終わった後、20分程度ぎゅーっと背中の刺した部分を圧迫します。
さらに、砂嚢を背中にあてた状態で6時間ほど真上を向いたまま絶対安静。
そして、砂嚢をとったあと翌朝までは仰向けのまま動けない。

そうして、翌朝もう一度エコーを当て、血液検査をして、出血がないことを確認してからようやく動けます。
だから、腎生検って、検査自体よりもそのあとの安静がつらい、とおっしゃる方が多いんです。。

確かに、すごくつらそう。
でも、私たちには、出血させないためだから、頑張って、としか声をかけられない。
そんな感じです。

Feb 11, 2011

思い出したエピソード

ハッピーフライトの映画を見ていて思い出した笑い話のような本当の話。

ERを回っていた時のこと。
ER-ICUに入院してた某患者さん。
本人も挿管されていて、でも意識状態はクリアだった患者のKさん。

ある日の午後、テレビのドラマの再放送を見ていました。
そのドラマ、救命病棟24時。
それを、病室で自分自身も人工呼吸器につながれたKさんが一生懸命食い入るように見てるんです。

だからね、「Kさん、自分と同じような状態のドラマ見てて楽しい?」って聞いたんです。
そしたら、うるさい!と言わんばかりに手で制されました。。
(挿管されてるから、しゃべることはできない。)

後で聞いたら、医療ドラマが好きなんだそうです。
自分が同じ状態にあっても、気にならないんだそうです(笑)
えっ、なんで気になるの?的な目できょとん、と見られました(笑)

でも、傍から見てると、テレビの中と患者さん自身の状態と同じっていう。
なんとも言えない状態でした(笑)

Feb 10, 2011

顔色

昼間に時間があったから、久しぶりにER-ICUに遊びに行ってきました。
ERの先生たち皆に言われました。

「おーはやたま!暇なのか?」
「なんかER終わったら顔色良くないか?」
「肌つや良くなったなぁ」

笑うしかないですよね(笑)
まぁ、事実なんですけどね。

夜勤がなく、夜きちんと寝ているので肌荒れも少しずつ治ってきてますし。
夜勤がなくて、朝も余裕があるのでちゃんとメイク出来ますし(笑)
そもそも、青いスクラブではなくて白衣を着ている時点で顔色はよく見えますし。

という訳で、なんだか身体的には元気な私でした(笑)

Feb 8, 2011

総合内科

わたくし、今いるのは腎臓内科です。
少なくとも、そうだと思っています。

だけど、今の私の患者さんたちの主訴はあんまり腎臓ではないんです(笑)
肺炎、腹痛、末期癌、ADL低下、不穏、上気道炎など。

共通点としては、皆ベースの腎機能が低下しているということ。
まぁ、だから腎臓内科で入院している訳ですが。

毎日、発熱の鑑別や腹痛の鑑別、不穏時の対応などばかりをしています(笑)
まだ、腎生検やシャントオペ(透析用のシャントを作るオペ。今度書きます)は1件もありません(笑)
他の研修医の先生たちは何回も何回もあるんですけどねぇ。

総合内科好きな私だから、全然いいんですけど、でも、あれ??って思います(笑)
入退院係の上の先生から「まだ腎生検担当してないよね?来週の入院さん腎生検の人にしたからよろしくね」と今日言われたから、多分来週には腎臓内科チックになってくると信じます。

Feb 4, 2011

hypo

以前も書いた気がしますが。

英語で、hypo=低、hyper=高 です。
なので、高血圧=hypertension、低血圧=hypotension ということになります。
流用して、大変な科とか頑張っている人とかをhyper、逆に楽々な科とか手抜きな感じな人とかをhypoと言ってます。

そして。
今私が回っている科の腎臓内科はhypoということで有名(笑)
(まぁ、私にはdrop outの既往があるので、hyperな所を希望していても回らせてはくれないんですけどね。。。今回も、消化器とか循環とか、そういう所を希望順位高く書いてたんですけどね。。)

しかも、普段は研修医4人なところを、今回は(私が余分だから?)5人います。
そりゃまぁhypoな訳で。私の今の担当患者さんは6人。
週末に3人退院するので、月曜朝には3人!(まぁ、月曜に入院さん来るけど)


という訳で、すっごくすっごく人間的な生活をしています。
朝起きたら7時半。8時半を目安に出勤。
午前中にゆっくりと患者さんたちを見て回ってカルテ第1版を書く。
(まぁ、合間にカンファとか腎生検、手術などが入りますが。)

お昼をちゃんとまともな時間に食べ(そう!お昼食べれるんです!)。
午後に検査結果が出るのを待って、カルテ第2版を書く。
そして、患者さんたちに説明して回りがてら患者さんたちを見て回って。
7時過ぎに帰宅。

なんと!
週の勤務時間が少ない!普通の会社員みたい!
11時間×5日+3時間=58時間/週

という訳でですね。
自炊は出来るわ、掃除は出来るわ、テレビ見れるわ。
突然出来た時間に戸惑うばかり。
先月は家に帰ったら寝るばかりでしたから。

なので、絵を描く時間もありそう♪
ひとまずは先月までの身体的な疲れを癒して。
腎臓の勉強もしつつ、自由に生きようと思います♪

Feb 3, 2011

腎内

2月3月は腎内=腎臓内科です。

学部生の頃から、私が一番好きな臓器は腎臓でした。
頑張ってるのが分かるから。
ほら、肝臓とかもすっごく頑張ってるんだけど、自分には分からないでしょ?
病気になって初めて、あー、肝臓はこんなに頑張ってたんだ、って実感するでしょ?
腎臓はその点、毎日毎日頑張ってるのが分かるから。

という訳で。
臓器としての腎臓は好きなんです。
形もかわいいし。

だけど、腎臓内科、となるとまた話は違う。
腎臓って、体の中の老廃物を排出しているんですけども。
体の中の電解質やpHのバランスを保っているのも腎臓なんです。

電解質とは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、などなどのこと。
これが狂うと、下手をすれば心臓は止まりますし、足が攣ったりとか、意識状態悪くなったりとか、いろんなことが起こります。
血がどれだけ酸性かアルカリ性かを調節しているのも腎臓。

だから、とても大事な臓器なんですけどね。
だから、腎臓の機能が落ちていて、外から調節してあげようと思うと大変みたいです。
この2カ月で腎臓のことを少しでも理解したいと思います。

Feb 1, 2011

七階の患者さん

どこの世界にも暗号というか、他の人には意味不明な言葉ってあると思います。

私たちも当然あります。
略語とか。英語とか。

そんな言葉とはちょっと違うけど、多分他の人に伝わらない言葉。
「7階の患者さん」

使い方は簡単。
「七階の患者さんに今日まだ会ってないから、行ってくるね」
とか。

まぁ、うちの病院、七階に研修医室と自販機があるんです。
病室はありません。笑

だから、つまり七階に行くとは休憩に行くこと。
それ以外にも、「hydrationに行く」などと行ったりもします。

医者はけっこう忙しくて、基本的にいつも脱水です。
だから、「七階の患者さんの脱水まだひどいみたい」とか言ってたりもします。笑

私たちにしか伝わらない言葉。
でも、そんな言葉を使える仲間がいるのが嬉しい。