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Jun 23, 2012

蘇生

私、基本的にあんまり夜はひきません。
なので、今まで当直中に入院が来た事がありません。

いえ、正確に言うと、一度だけ入院が来たんですが、その時は入院が分かった時点で先輩がたまたま院内にいてくれたので、「一人で」入院を取った事がありません。
双子が生まれるから、と夜中に呼ばれた時は片方を私だけで蘇生をしたけど、隣で上の先生がもう一人を蘇生していたから困れば聞ける状態だったので(実際は聞かずに1人で蘇生したけど)、丸っきりの「一人で」の蘇生もありません。


当直中。23時過ぎ。
「2時間くらいで生まれます。」という電話が産婦人科からかかってきた。

具合が悪そうな事が予測されていた子。
スムーズなら経膣分娩を、ダメそうなら緊急帝王切開にするという予定でした。

部長に確認したら、「S先生かA先生を呼んだらいいよ」、と。
まずは看護師さんに入院が来る事を伝え。先輩に電話したら留守電。
あと1時間半以上あるし、準備しながらもう1回電話しようとしていた矢先、産婦人科から電話。
「もう生まれます!!立ち会いに来てください!!」

入院の準備も(看護師さん側はお願いしたけど、私側のorderやら採血準備やら)が間に合わない。
そして、何より、今からもう一回先輩に電話しても間に合わない。
看護師さんに「S先生に電話してください!!」ってお願いして、産婦人科病棟へ走る。


スムーズに経膣分娩で生まれました。
でも、やっぱり具合が悪い。
初めて一人で蘇生をする。

お願い、脈戻って。
お願い、泣いて。
お願い、baggingに反応して。

蘇生出来なかったらどうしよう、ということが初めて頭をよぎりました。
baggingをして脈は戻ってきたものの、泣かない。pink upしてこない。ぐったりしてる。

必死でした。
飲んだ羊水を吸引で引いては酸素を使いながらbaggingしばらく続けて、を繰り返し。
O2を60%まであげてきた段階で、心疾患の可能性もある、と頭をよぎりました。
挿管も必要になるかもしれない、でも今の私はまだ挿管に踏み切る閾値は高い、有効なbaggingをする方がいいし、とか考えながら。
ようやくpink upしてきて、このまま続ければ大丈夫だ、って思えた頃。
先輩が到着してくれました。

入院にして、処置して、ご家族に説明して。
呼吸はなんとか落ち着いてくれ、エコー所見とX線は微妙。
上がってきた血液検査のデータを見た段階で、これは重症だから転院になるかも、と。

先輩は病態も把握してて、私にも指示を出しながらテキパキと必要なことを進めてて。
改めて優秀さを目の当たりにして。
自分のダメさを実感して。
頑張らないとな、って。

年次が違うにせよ、先輩は1人であの子を任せられると部長に判断されていて、だからこそ、呼ぶように言われた訳で。
そういう風になりたい。上の先生たちの負担を減らせるような働きが出来るようになりたい。
前に進むのみ。泣いてる場合じゃない。


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