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Jul 5, 2012

冷静

当直中、初めて全くの一人で、具合の悪い赤ちゃんの蘇生をして入院にして処置をしました。最初から最後まで1人で、っていうのは初めて。
在胎35週。頚部に臍帯巻絡が2回あり、Apgar score 4/7。
呼吸ダメ、筋緊張著明低下、全身皮膚蒼白。

でも、不思議と怖くなかった。
前回、呼んだ先輩が来るまでの間に1人で蘇生してた子の方が何倍も怖かった。
状況を過小評価していたわけでも、私の能力を過大評価していたわけでもないと思う。
冷静だった。

悪かったから、酸素濃度を上げるのも躊躇わなかった。
40%まで上げた2分くらいの時点で少しpink upして来てるのが見えた。大丈夫、蘇生はできる。
3-4分の時点で自発呼吸がしっかりしてきた。でも無く元気が無くてずっと呻吟(うなった呼吸)していて。
5分のapgar scoreを取った時点でも、まだ具合はとても良いとは言えない状態だったけど、大丈夫と思えた。
苦しかった様子だけど、初期蘇生は出来てる。

pink upはしてるけど、皮膚蒼白だし呻吟だし筋緊張低下してるし、入院にしよう、と判断。
呼吸を落ち着けて、貧血の有無や苦しかった度合いを含めて血液検査をしよう。
脳低温療法にはならないし、この様子なら、数日で落ち着くはず。
ここまでの数分間、判断と次への行動に迷いはなかった。


赤ちゃんの口元からmaskを外せないような状況だったけど、ご家族への説明も、私はあくまで穏やかに、冷静に出来たと思う。
赤ちゃんの状況の説明。自分で呼吸をしてくれているけど 、まだ苦しくて唸りながら頑張ってるから、赤ちゃんの病棟に入院にして、しっかり呼吸補助などの治療をしてあげたいこと。

私が焦った様子を見せてはいけないと思った。
冷静に穏やかに事を進めなくては、と思った。
目の前にいるご家族が不安に思ってしまうから。

NICUの病棟に連絡をして、入院の準備を急遽お願い。
「今生まれた子がnasalが必要そうなだから、入院の準備をお願いします。」
赤ちゃんから手が離せない状態だから、電話もご家族の目の前。落ち着いているとは言え赤ちゃんを診ながら、でも声は穏やかに。
でも、入院の準備が出来たという連絡を待っている間に、余りに呼吸が悪くて私が手を離せなくて動けないから数分後に再度電話。
「ちょっとmaskから手が離せないから、とりあえずもう連れて行っていいですか?」

蘇生から、入院手続きから処置から、検査、判断まで。
初めて全部1人だった。

翌日、上の先生に確認したけど、やったことは正しかった。
「呼んだ方が良かったですか?」と確認したけど、「別に大丈夫だよ」って言われた。
先輩に言われた。「出来るようになって来てるんだよ。」
私も少しは戦力になれて来てるかな。

先週、先輩を呼んでいる状況下で具合が悪い子の初期蘇生を1人でしたこと。
先週、29-30週の子をアドバイスがない状況下で蘇生させてもらったこと。
先週から今週にかけて、何人かほぼ私だけで検査治療方針たてさせてもらってること。

先週から今週にかけて、この土壇場のギリギリのタイミングで、なんとか一応戦力になるくらいに成長できてきてると思う。
まだまだこれから。先生たちからたくさんたくさん吸収したい。
学び大き、成長の一年にしよう。

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