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Aug 11, 2012

境界線

流産と早産。
法律上の線引きは妊娠22週以上か、22週未満か。
もちろん、赤ちゃんが21週6日だから生きられなくて、22週0日になった途端生きられる、という訳ではなくて、22-23週台というのは1日1日で生存率が大幅に違います。

お母さんの命が危なくなるため21週6日で緊急帝王切開で出さなくてはいけない赤ちゃんがいました。
午後の遅い時間。あと数時間で22週0日、そんなタイミングです。

21週6日であれば、流産ですから、赤ちゃんに蘇生処置をとることはありません。
だけど、週数が間違っている場合もなきにしもあらずです。
私たちNICUの医師も立ち会いにいきました。
明らかに週数が違えば、蘇生をすることも無くもないから。


生まれた赤ちゃんは、21-22週相当でした。
蘇生処置はせず、見守ってあげて、頑張ったねって声をかけてあげて、タオルで包んであげて。
お母さんが意識がある状態であれば、本来はお母さんに抱っこしてもらうのですが、今回は全身麻酔下の超緊急帝王切開であったため、お母さんの意識は無く、私たちの見守りになりました。

ほんの数分前までは、お母さんから栄養や酸素をもらって生きていた児。
お母さんの命が危ないから、と外に出されてしまっても、いきなり心臓が止まる訳ではなくて、ゆっくり止まっていきました。
生まれて、ほんの数回だけ、死戦期呼吸のような動きもしました。
立ち会わせてもらった私だけど、そんなことは思ってもいなかったから、動いて呼吸(といっても、死戦期呼吸だから有効換気ではないけど)した時には、思わず息をのんでしまいました。


見守りながら、なんとも言えない心境でした。
分かってる。流産だし、蘇生処置をしたとしても、胎外で生きていけない。
分かってる。外から見て分かるほどに頭蓋内出血もしてて、助からないのは明白。
分かってる。そもそも、22週だって予後は決して良くない。蘇生をしない病院や国が沢山ある。

だけど、普段目にしているような23週の児と何が違うのかと言われると、分からなくて。
担当している児と被ってしまい、本当になんとも言えない心境でした。
赤ちゃんの表情が安らかな穏やかな顔だった、と感じたのは、そう思いたかったからでしょうか。でも、苦しそうな顔はしていなかったと思います。

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