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Nov 20, 2011

しまうま

ある症状を見た時に、そこから考える鑑別疾患。
ひずめの音を聞いた時に何を考えるか、ということにかけて、よく「しまうま」だとか「うま」だとか例えられます。

頻度の高い疾患=うま
頻度が低い疾患=しまうま

普段の診療では、馬かな、って思いつつシマウマに注意していく、程度の感じ。
今日、救急日直をしていて、しまうまに遭遇しました。


症例は3歳女児。
主訴:排尿時痛
現病歴:4日前にお風呂をまたいでぶつけた。3日前くらいから排尿時痛あり。徐々に悪化しており、昨日からは温かいシャワーを当てて排尿をしている状態であり血尿があるかどうかは不明。本日は排尿1回のみ。排便・歩行には問題ない。発熱はなく、その他疼痛部位は認めない。母曰く会陰部に発赤などはない、とのこと。
既往歴:尿路感染症の既往なし。その他特記すべき既往歴なし。

ちなみに、身体所見はほぼclearでした。活気も良好で全身状態良好。
CVA tendernessがある気がした(再現性があって、腹部側に行くと痛くないって言うんだよね)けど、3歳なので信憑性には欠けるかな。
本人の絶大な抵抗にあい、会陰部の診察は出来ず。


でという状態で何を考えますか?
わたくし、尿路感染症(ただし、発熱がなく全身状態良好であることから、あるとしても下部が怪しい)を第一に考えたんです。
検尿して尿路感染が無かったら次考えるかな、と。

本人の受け入れの問題もあるので、一応採尿カップを持ってトイレに行ってもらったものの、排尿時痛で排尿なんてできる状態ではなく、導尿をしようとしていたんです。

そしたら。
外陰部裂傷がありまして。
導尿中止。これが原因だろうということで。

もちろん、この場合は虐待も鑑別には上がってきますが、親や子供の様子や、病歴の話からは積極的には疑わない状態だったので、そのまま軟膏を処方して帰宅としました。


排尿時痛で外陰部裂傷。しまうまだよね、これ><
とは思うものの。

最初の時点で会陰部を診察できていないのは良いんです。どうせ導尿だろうという読みもあったし、本人が嫌がっているのに無理に診察するのも何なので、何回目かに診察室に呼んだ際かな、と思っていたので。


でも、最初の病歴聴取の時点で外傷の既往を聞いていたにも関わらず、それを全く気にも止めていなかった自分を後で猛烈に反省しました。。
だって、カルテにも「4日前にお風呂をまたいだ際にぶつけ、その後から排尿時痛を訴えている」という記載してるんです。

にも関わらず、頭は(下部)尿路感染に凝り固まっていた。。。
外陰部裂傷は鑑別にすら上げていなかった。 反省。
せめて、Most likely: 下部尿路感染症、need to rule out: 外陰部裂傷、程度に鑑別に挙げておきたかった。。
最終的には診断できているからいいようなものの。。。

 そして、abuseじゃないよねぇ、多分。
小児科の当直の先生にも見てもらってて帰宅にしてるし。
いろいろと学びの多かった症例でした。

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