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Dec 25, 2013

卒業認定

今日、卒業認定をもらいました。唐突に。

知ってました。私の当直の時には、ほぼ毎回途中まで先輩がいてくれることを。
知ってました。密かにカルテをチェックされていたことを。
知ってました。本当に必要な時は、救急外来に来てくれていたことを。

そして、それに甘えてました。
自転車の補助輪みたいな感じ。
不安な時に、安心材料になってました。

でも、本日、年内最後の当直の準夜が終わって言われました。
「もう大丈夫だね。一人でできるよ」
こうやって、当直の時につくのは最後にする、と。

よく考えれば当たり前のこと。
もう四年目の終わりも見えています。
小児科1年目、とか言っていた4月から早8ヶ月、いい加減独り立ちしないとダメですよね。
分かってはいましたが、宣言されたら急に不安になるものですね。

よほど不安な顔をしていたのでしょう(笑)
最後に、「本当に困ったら電話していいからね」と言われました。

当直の独り立ち。本当の独り立ち。
大丈夫。大丈夫って言われたから大丈夫。

Dec 15, 2013

おはらい

私の当直はなかなかに荒れます。
先輩が統計を取ったところ、有意に私の当直時に入る入院数が多く、かつ、夜中にも沢山来院しているのだそうです。

そして、昨晩、土曜日の当直で実感しました。
診た総数は65人程度とさほど多くないものの。
そのうち5人が入院、そのうち2人が重症心身障害児、1人がけいれん群発、1人が炎症反応が高めな乳児期早期発熱、1人はかなりの脱水低血糖の急性胃腸炎。

当院の土日祝日の当直はなかなかに大変なこともあり、病棟と外来と二人体制です。
私は外来だったので、次から次へと病棟と、入院担当の当直の先生に連絡を入れていった訳です。

最後の5人目になった時には、電話をかけるのも申し訳なくて、直接病棟に行って「大変申し訳ないのですが、もう一人入院をお願いしたいんです」と頭を下げました。

週明け。
この事実を知った先生方に口々に言われました。
「はやたまちゃん、お祓いに行きなさい。」

年末前に行っておこうかなぁ。。。ふぅ。

Nov 24, 2013

冬の当直

昨晩の救急外来受信者数100人越え。

100人って言われても想像がつかないって?
計算してみましょう。
特に酷かったのは、18-20時くらいです。
1時間に20人近く来院していました。単純計算では1人あたり3分。

3分診療、などと俗に言いますが。
実際に3分で終わらせるのはなかなか困難、というか私だったら絶対無理。
呼び入れる。最小限の話を聞く。最小限の確認事項を確認する。
最小限の診察をする。最小限の説明をして納得してもらい、カルテを記載する。
場合によっては、吸入や点滴などの処置も必要となりますから、さらに時間がかかります。

そんな中、次から次へと患者さんが押し寄せると、どうしても1-2時間待ちになっていく訳です。
 
しかも、大半のお子さんは、ついさっきから熱が出たけど元気な子や、数日前から咳と鼻水があって、、というようなお子さんです。
正直に言わせていただくと、救急外来を受診する必要は無い子たちです。翌朝の診療で間に合う風邪の子たちだから。
しかも、救急外来は基本的には、夜を越せるか越せないかという判断をしていく場なので、詳しい検査も出せないし、薬も1日分のみなので、翌日どっちにしてもかかりつけ医を受診する必要があるんです。
 
そして。大半の元気な子たちの中に、たまに、本当に具合が悪くて、入院が必要な子が混じっています。
1-2時間待っている間に悪化してしまうこともあります。

救急車や夜間救急はコンビニではないのです。
適正な利用が求められるのです。


という話はさておき。
100人越えの小児科の冬の救急外来。
私にとっては初めての小児科の冬。
今からドキドキです。

Aug 25, 2013

インスト

本日、助産師さんたちを対象にしたNCPR(新生児蘇生法)の講習会がありました。
インストラクターとして参加させてもらいました。

実感。
知識も実体験もゼロな方に教えるのは非常に難しい。

学生時代を通じて、今まで教えて来たのは、医学生(しかも、救急とかに興味がある学生)、医者、看護師(しかも、普段から蘇生に慣れている方々)が多い。

分かっている人よりも分かっていない人に教えるのが難しいのは当たり前といえば当たり前なのですが。
それにしても、BLSはともかく、医療的知識がかなり必要な内容を、全く知らない人に教えるのって厳しい。

いえ、良い訳してはいけませんね。
教え方がまだ出来ていないということです。

今日の目標は、全員がmask baggingと胸骨圧迫を正しいタイミングで正しい手技で行えること。これだけは達成出来たと思います。

が。
時間は足りなくてシナリオは最後まで行き着かなかったし、あまりの出来なささに愕然とした受講生がいたけど、1:9で教えていたため、細かいフォローが出来なかった。
今日の講習は失敗です。

流量膨張式を使ってみたり、BLSやACLSと比べても煩雑なNCPRを、全く予備知識がなく、bagging経験ゼロ(自己膨張式も含めて)な人たち9人にシナリオを入れて2時間で終わらせるって、インスト駆け出しの私には難しかった。
教え方ももう少し上手くなりたいなぁ。そして、あの煩雑なNCPRのアルゴリズムをもう少し明確に分かりやすく伝えられるようになりたいなぁ。

Aug 2, 2013

CPA

CPA = cardiopalmonary arrest = 心肺停止

小児科に来てから、CPAに立ち会った事は1回しかありません。
私が立ち会わなかった事例を合わせても数回しかありません。
ただただ、唖然としてしまって、言われたことをしようと試みて終わりました。

そして。そんな昨日。
当直でした。7時半過ぎまで、医局で先輩とお話をしていたんです。
7時半過ぎに嘔吐の子と、乳児期早期発熱の子が来て、救急外来に下りて。
診ている最中(ちなみに、二人とも入院になりましたが)のこと。

8時ちょっと前。救急救命科の先生が私の元へ来ました。
「CPAの子が来るから、手伝ってください」

話を聞くと、基礎疾患のある3ヶ月の子だ、と。
一瞬、頭が真っ白になりました。私一人じゃ無理だ。。。

(うちの病院では、hotlineは大人も子供もまずは救命科がfirst callとなります。救急車であっても二次救急以下は小児科や内科が診ます。
 ですが、救命科は大人の人が専門なので、小児、特に1歳未満の場合は小児科orNICUが呼ばれ、我々がメインでの加療になります。)

無理だ、と思ってまずした事。
ついさっきまで話していた小児科の先輩に電話をする。 が、つながらない。
別の先輩に電話する。  が、つながらない。
焦る。どうしよう、という焦り。

NICUの先輩に電話をしたら、つながった!
ちょうどカンファ中だったため、みんながいました。
「3ヶ月の◯◯病のあるお子さんがCPAで運ばれてくるんです!私一人じゃどうしたらいいか分からなくて、あの、」
ここまで言った時点で、「分かった」と。

児が運ばれて来た時、PEA(心臓の電気活動がわずかにあるだけの心停止)でした。
骨髄針を救命科の先生がトライするも入らず、挿管も出来なさそうな状況(というより、小児用ではなく、大人用しか無かった><)

というところで、先輩たちがかけつけてくれました。
ありがたかった。ようやく落ち着けた。
主治医の先生に連絡をするのもしていなくて、言われて初めて連絡をするという次第。

一人がラインを即確保、別の先輩が胸骨圧迫を交代、持って来てくれた喉頭鏡で私が挿管。
喉頭展開をした瞬間、目を疑いました。喉から先に多量のミルク。
その後も蘇生を続けてもPEAからAsystoleへ。脈は戻らなかった。

脈が戻らなくて、お看取りになって。
苦しい辛い。だけど、それ以上に、悲しかった。
私、小児乳児の蘇生を一人で立ち会えって言われたら絶対無理。
それを実感して突きつけられた感じ。

新生児の蘇生は最小限は一人でも出来ます。なんて言っても、立ち会う回数が非常に多かったし、人に教える機会もあるから、最小限はね。
でも、乳児、小児、って言われた時点で、ダメなんだ、ということが非常に良く分かった。一人じゃダメ。ライン取れる気もしないし、薬剤量の計算も一人じゃ怖い。
そもそも、CPAって言われた瞬間、頭が真っ白になった。
ダメだ、私。頑張れ。

Jul 2, 2013

当直。。。

人は、自分自身で怖い思いをしながら成長をします。
とは、昨年の上司の先生が言っていた言葉です。

確かに、去年も初めて当直で自分一人で具合の悪い子を蘇生する事になった時から、度胸もついたし、成長したと思う。

そして。
今年は本日初めて、文字通り一睡も出来ずに当直をしました。
いえ、他の先生と比べたら大変ではないと思うのですが、タイミングが良くなかった。


夜中3時。
腸重積のお子さんの整復をしている最中に、その間に来院して待合室で待っていた風邪の子がけいれんをしてしまい呼ばれる、という事態に。

幸い、腸重積のお子さんの整復はほぼ終わっていて、後は看護師さんにお願いしても大丈夫なくらいだったとはいえ。

造影室から診察室へ走って戻って。
直ぐにラインをとって抗けいれん薬を投与し始めて。
次の薬で止まらなかったら、夜中だけど誰か先輩に電話をしよう、そう思った矢先、30分経過した時点で止まりました。

止まってからも上気道狭窄(抗けいれん薬の影響もあり、舌と喉の所が狭くなってしまって、息を吸うのが苦しい)になってしまい、経鼻エアウェイ(鼻から喉の空気の通り道まで入れるチューブ。舌を避けて空気を届けられる)を挿入するという事態になりましたが。。
でも、やはり去年NICUで1年やってきているからというのもあるのでしょうか。呼吸管理の段になれば、迷いや恐怖は無かったです。 (けいれんの時は、止まらなかったらどうしよう、いつ電話しよう、とか思ったけど)


腸重積の子を初めて一人で診て、初めて一人で整復して。
けいれんの子を初めて一人で診て、初めて一人で止めて。
(しかも、体調が悪かったという悪条件で)
少し度胸と自信はついたかな。

Jun 18, 2013

医療拒否

医療は、受けるも受けないも、基本的には患者さん(未成年であれば親御さんも)が決めます。私たち医療者は説明をして、選んでもらいます。

なのだが。それは分かっているのだが。

昨晩の当直中の出来事です。
中学生の男の子が救急搬送されてきました。

どう見ても。重症な小児は重症な赤ちゃんほどは見慣れていないとはいえ。
どう見ても。変!おかしい!

ろれつが回らず、足下もおぼつかず、嘔吐もしていて、意識もややあやしい。

ご両親が外で警察と話をしている間に、尿検査をだして点滴をして採血をして。
確かに、尿と血液は異常はありませんでした。
でも、データより何より、本人の様子が変! おかしい!

なのに。
ご両親に現状を説明して、さらに検査が必要です、入院して経過観察が必要です、とお話をしているのに。大丈夫ですよ、とは言えないですと説明をしているのに。
精査も入院も拒否。

点滴を抜去してお帰りになりました。


これで帰宅後にその子に何かあったら。
私は訴えられるのだろうか?訴えられたら負けるのだろうか?
なんとなく理不尽。

カルテには詳細を記載し、医療拒否であったことも明記。
説得頑張ったんだけどなぁ。あの子大丈夫だったのならいいのだけど。

Jun 9, 2013

SjS

Stevens-Johnson syndrome=スティーブンスジョンソン症候群=皮膚粘膜眼症候群

原因としては薬剤が多いですが、その他に感染、悪性腫瘍その他で起こる過敏症。
皮膚には多形紅斑が出て、眼脂、高熱などその他の全身症状が出ます。
特徴的なのは、皮膚粘膜移行部(唇のところとか、眼のところとか 、肛門のところとか)が酷いということ。

ステロイド投与を行い、皮膚の処置をして、原病があればその治療をして、眼科の先生に眼も診てもらって。

そして、軽症であればまだよいのですが。
(といっても、子供から大人まで合わせても100万人に数人程度の発症率で、眼に後遺症を残すことも多いので、重たい病気ではありますが。)

重症だと、TEN=Toxic epidermal necrolysis=中毒性皮膚壊死症
に進展していってしまうことがあり、要注意です。

そして。
私の当直中にSjSの子の症状が進行したため、転院搬送へ。
NICUにいた頃は、迎え搬送とかが多かったので、専門病院への転院搬送に同乗していくのは初めてで、ドキドキでした。

先輩Drに「とりあえず落ち着いて。搬送中に起こりうる事態は?」と聞かれ。
「呼吸状態の悪化。」と答えたら、「そうだよね?そうなった時の対応できるよね?なら大丈夫、行っておいで」と送り出されました。

無事に行って来れて良かった。
そして、よい転帰であることを祈ります。

Jun 6, 2013

CPAOA

CPAOA= Cardiopulmonary arrest on arrival=来院時心肺停止
つまり、院外で心肺停止になり、心拍再開しないまま病院に運ばれて来た患者さんの事です。

研修医でERを回っていた時に、大人に関しては沢山遭遇しました。
むしろ、ドクターカーで迎えに行って、胸骨圧迫をしながら帰って来たこともあります。

NICUにいた間にも、生まれたけど初期蘇生に反応しない子も経験しました。
先天疾患があり、NICU入院中に亡くなってしまった子も看取りました。
担当している子が亡くなったこともあります。


今日。
小児科に行って初めて、CPAOAで来た子を経験しました。
知ってる子でした。

来た時点でasystole(=心静止=全く心臓の電気活動がない状態)で若干色も悪くなっている状態でした。
挿管して人工呼吸を開始、胸骨圧迫を継続して、心臓が動き出すことを祈って薬剤投与も行いました。
でも、動かなかった。
何をしても、反応してこなかった。

30分ちょっとの時点で、お母さんに事実が伝えられました。
やれる事はやったけど、心臓が動き出してくれない、と。
名前を呼んで泣き崩れていた。そりゃそうですよね。

新生児や小児の場合。
蘇生を止めてご家族に抱っこしてもらった時刻を死亡確認時刻にすることが多いです。
full code(挿管、胸骨圧迫、薬剤投与など全ての蘇生を行う)ではないお子さんでは、心臓が完全に止まった時ではなく、ご家族が納得出来た時刻を死亡確認時刻にすることもあります。
今回も、お母さんに抱っこしてもらった時刻を死亡確認時刻としました。

どうしてなんだろう、という思いはご家族はもちろんのこと、私たちにも残ります。
血液検査の提出、死亡時CT(AI=autopsy imaging)を撮ったり、小児の場合は代謝疾患などの先天疾患の検査の為の濾紙血や保存血清を取らせてもらったりもしますし、解剖を行うことも少なくありません。

生まれて初期蘇生に立ち上がってこない子もすごく辛いし、先天異常があってNICUで看取る子もとても悲しいのだけど、小児のCPAOAのお子さんはシンドイ。
そんなことを思い知らされました。
 担当している子だったら、もっとシンドイのだろうと思います。

言葉ではなんとも表現できません。
ただただ、心が押しつぶされそうな、なんとも言えない感覚が残ります。
慣れることはないんだろうなぁ。

Apr 29, 2013

救急外来

私はまだ、半人前です。
しかも、今の病院の小児科は、今年の人事ではかなり学年の上の先輩先生方が沢山なので、私は一番下です。

なので、当直や外来は緩やかに始まりました。
外来はまずは、午前よりは患者さんが少なく、考えながらゆっくりでも大丈夫な午後の時間外外来から。
そして、次に午前の中では一番患者さんが少ない水曜日の午前外来。

当直も、まずは病棟のみの日。
そして、次に、準夜帯のみの日。
そして、次に夜中のバックアップ当直。(救急外来に外勤の先生が来てくれる時の当直)

そして。
本日は初めての土日の病棟当直です。
土日は恐ろしい数の患者さんが来るので、外来と病棟とは別に当直医がいます。

先輩先生が次から次へと救急外来をさばいていく様子を見て、驚きました。
迷っている時間はないんです。患者さんからお話を聞いたら、次から次へと判断して、orderを入れていかないと終わらないんですね。。
そして、その合間に次から次へと入院さんも入り。

救急外来を上手く回せるようにならないと、一人前の小児科医にはなれませんね。
最初は時間かかってもいいんだよ、と言われました。
本当に具合悪い人を見逃がさなければ大丈夫、と。
患者さんが多すぎて待つ時間が長いのは仕方がないことで、救急じゃない方も沢山来てて、待てなくて帰る人もいるかもしれないけど、そういう人たちは救急じゃないから大丈夫だから、と言われました。

とは言われても。。。
頑張れ、私。

Apr 26, 2013

けいれん

けいれんは小児科医にとっては、診慣れるくらい沢山見ることの一つです。
でも。小児科に出たての私にとっては、当直中に「けいれんの子が来ます」と言われると怖いです。

当直中。朝6時前。
「けいれんした子が救急車で来ます。」とPHSに連絡が入りました。

状況を聞くと。
2歳の子。けいれんはした事がない。
先ほど突然四肢をガクガクさせるけいれんがあって救急要請。
救急隊がついた時にはガクガクするけいれんは治まっていたけど、意識がまだぼんやりして目が上を見ている。熱を測ったら39℃。10分後に病院到着出来ます、と。

その時点でけいれんが始まってから15分程度。
目が上を見たまま=けいれん自体は止まっていない
 →時間が長い。来院時にけいれんが止まっていない可能性あり!!

けいれんというのは、とにかくまずは止めてあげることが先決です。
普通の症状は、原因が何かを考えて、原因の治療を行いますが、けいれんはとにかく止めることが先です。
来院時に止まっていなければ、様々な薬を使って止めます。その後で、原因を考えていきます。

体重を聞いて、来院時にけいれんが止まっていなかった場合の薬の量を計算して。
有熱時けいれんですから、止まらなかったら髄膜炎・脳炎・脳症(怖い!!)の可能性もあります。
覚悟して待ち構えていました。

そしたら。
幸い、来院時には止まっていました。
意識清明であることを確認出来た時、心底ホッとして落ち着きました。
経過と症状・所見からは熱性けいれん(一応持続時間からはギリギリ複雑型)と診断。
再けいれんしないかの経過をみながら、検査結果やけいれんのご説明をして。

まだ、けいれん重積を診た事はありません。
(重積=30分以上けいれんが止まらない≒病院到着時に止まっていなくて、薬を使わなくてはいけない)
いずれ出会うことでしょう。そして、いずれ対応も慣れてくるのでしょう。
今はまだ、ドキドキです。

Apr 11, 2013

anorexia

anorexia、神経性食思不振症の小児を初めてみました。
パッと見て分かるくらい。

命にかかわることなんだよ、ということを初めて実感しました。
心臓がギリギリしか動いていなかった。

点滴を始めるのが怖いのだそうです。
Refeeding Syndrome。

身体が切りつめてギリギリで頑張っているところに、栄養が入り始めた時が危ないのだそうで。
ギリギリの心臓にとって、急に入ってくる水分は負担。
急に栄養が入ってきて、細胞が活動を開始し始めると、ミネラルやビタミンが足りなくなる。
など。

うーん。
恐ろしい。

どうして、小さい子でもこうなっちゃうんだろう。
大人の女性でも危ないけど、子供だともっと危ない。
幼くして発症した子の方が、精神面での回復が難しいのだそうです。

Jan 23, 2012

胃腸炎関連けいれん

今日、初めて胃腸炎関連けいれんの子を見ました。
胃腸炎にかかった子で、けいれんを起こす子がいます。

特徴としては、短い(1-2分)ものを、群発(短い期間の中に何度も何度も起こす)します。
発作間欠期(発作を起こしていない間の時間のこと) には意識clearなことが特徴です。
通常のけいれんの処置では(ドルミカムとかね)止まりにくい特徴があり、カルバマゼピンの経口投与が効きます。

というのが教科書的なこと。
とは言っても、胃腸炎症状があり、熱がなくて、間が本当に元気で、という典型的な症例は少ないらしいです。
胃腸炎で熱が出てる場合、けいれんを起こしていれば、髄膜炎や脳炎脳症なども考えなくてはいけません。

今日の子は本当に典型的で、熱がなく胃腸炎症状のみあり、短いけいれんを群発していました。
カルバマゼピンの経口投与(といっても、飲める状態ではないので、胃にチューブを入れて薬を注入して、チューブを抜いてきます)したら、その後はピタッと起こさなくなりました。
うーん。これでまた一つ、診たことのある疾患が増えました。
とはいっても、次に一般小児科をやる1年半後には忘れてるんだろうなぁ(汗)

Jan 12, 2012

腸重積

インバギ=intussusception(invagination)=腸重積
 腸が腸の中に入り込んでしまう状態のこと。

教科書的には、嘔吐で始まり、間欠的な腹痛と啼泣、イチゴゼリー状の血便。
胃腸炎の流行っている時期だと診断に困る症例もあるよね、っていう。
2ヶ月から2歳に多くみられ、腸の中でも回盲部とかに多いんです。


という知識はあったものの。
実は見たことが無かったんです。
でも、本日初めて見ました。


昨日、嘔吐・下痢で受診していて。
夜中になってから血便も出た、という。
最初は胃腸炎だったのかもしれないです(ロタとかアデノとかで起こりやすい)。

何故か腸重積は夜に来ることが多いのだそうです。
だから、当直をしていて最初に当たると困るのだとか。
昼間に見られることなんて滅多にないから、見ておいで、と言われたほど。

治療は、発症24時間以内であれば、診断的治療として、造影剤を入れた生理食塩水での高圧浣腸を行います。
それ以上経っている時など、腸管壊死だったり腹膜炎だったりを起こしている可能性がある場合は、外科的な治療になる可能性が高く、小児外科のある病院に送ります。


本日の子は、造影にてカニ爪が確認され(=腸重積)、そのまま高圧浣腸ですんなりと整復されました。
次に見た時に一人で出来るかと言われると微妙すぎますが、ひとまずイメージはつかみました。
(そして、想像していたのと違っていたので、みられて良かったと心底思いました)


けっこういるんですよね。
また一つ、「初めて見た」が減りました。

Jan 11, 2012

脱水

脱水症。
まぁ、おそらくは医療関係者じゃなくても、ほとんどの方が知っている単語だとは思います。

なんですが。
私、ここまでの教科書的な重症脱水って初めて見ました。
思わず小児科部長の先生が私を呼んでくれたほど。
(まぁ、処置があるからいずれにせよ呼ばれたかとは思いますが)

体重が15%程度減少し、眼球が落ち窪み、口腔粘膜・口唇はひからびてカピカピ、皮膚も乾燥してカピカピでつまんだらつまんだ痕が残る(ツルゴール低下)、腹部もぺちゃんこ、ぐったりして反応なし。

ただし、高張性脱水だったため、血管内は比較的保たれていたのか、CRT<2secでしたし、末梢もそこまで虚脱はしておらず私でもラインが一発で入りました。
(脱水の種類によって、血管の中の濃度が濃くなる場合と薄くなる場合とがあって、脱水が強く出るのが血管の中の水なのか細胞の中の水なのか、とかちょっとした違いがある)

採血の結果に目を見張りました。
酸性アルカリ性の(pHの)バランスも非常に崩れ、塩分などミネラルの(電解質の)バランスも崩れ、脱水過ぎて腎臓の機能も低下し(腎前性腎不全)、ものすごく血が濃くなり(Hb、Ht、UA、BUN/Creその他、非常に濃縮しておりました)。

昼には補液を開始したのに、21時を過ぎても尿が出ず。
途中で再度採血をしたり、腹部エコー(一応、腎不全が脱水による結石など二次的な腎後性がないことを確認)をしたり、心臓エコーをしたり、いろいろしたんですけどね。
待てど暮らせど尿は出ず。最終的には、 エコーで膀胱内に尿の貯留を確認して、補液をK入りに変更しました。(K2.6という低値で、当然ながらモニターも付けている状態だったので、尿が作られ始めたことを確認したら早めに変えたかった)

補液ってけっこう奥が深いのです。
単純な話を書けば、小児の場合、基本的には尿が出ることを確認するまではKが入っていないK freeな補液を使います。
尿が出ない限り、Kは体からは出て行かないので、溜まってしまって不整脈などを起こしかねないので。

尿が出れば、Kも入っていてNaもそこそこ入っている補液に変更します。
さらに脱水分が補われてくれば、維持液と呼ばれる、NaもKも少し濃度を下げたものに変更します。
高張性の場合、急いで補液をすると、急激に血管の中の浸透圧が低下し、細胞の中に(特に脳神経細胞!)液体が流入してしまい 、後遺症を残しかねないので、比較的ゆっくりと補正していきます。
(もともと、脱水が強い場合には脱水量(≒体重減少量)を2日(ー3日)程度に分けて補正するんですけどね)

たかが脱水症、されど脱水症。
奥が深いです。

Nov 20, 2011

しまうま

ある症状を見た時に、そこから考える鑑別疾患。
ひずめの音を聞いた時に何を考えるか、ということにかけて、よく「しまうま」だとか「うま」だとか例えられます。

頻度の高い疾患=うま
頻度が低い疾患=しまうま

普段の診療では、馬かな、って思いつつシマウマに注意していく、程度の感じ。
今日、救急日直をしていて、しまうまに遭遇しました。


症例は3歳女児。
主訴:排尿時痛
現病歴:4日前にお風呂をまたいでぶつけた。3日前くらいから排尿時痛あり。徐々に悪化しており、昨日からは温かいシャワーを当てて排尿をしている状態であり血尿があるかどうかは不明。本日は排尿1回のみ。排便・歩行には問題ない。発熱はなく、その他疼痛部位は認めない。母曰く会陰部に発赤などはない、とのこと。
既往歴:尿路感染症の既往なし。その他特記すべき既往歴なし。

ちなみに、身体所見はほぼclearでした。活気も良好で全身状態良好。
CVA tendernessがある気がした(再現性があって、腹部側に行くと痛くないって言うんだよね)けど、3歳なので信憑性には欠けるかな。
本人の絶大な抵抗にあい、会陰部の診察は出来ず。


でという状態で何を考えますか?
わたくし、尿路感染症(ただし、発熱がなく全身状態良好であることから、あるとしても下部が怪しい)を第一に考えたんです。
検尿して尿路感染が無かったら次考えるかな、と。

本人の受け入れの問題もあるので、一応採尿カップを持ってトイレに行ってもらったものの、排尿時痛で排尿なんてできる状態ではなく、導尿をしようとしていたんです。

そしたら。
外陰部裂傷がありまして。
導尿中止。これが原因だろうということで。

もちろん、この場合は虐待も鑑別には上がってきますが、親や子供の様子や、病歴の話からは積極的には疑わない状態だったので、そのまま軟膏を処方して帰宅としました。


排尿時痛で外陰部裂傷。しまうまだよね、これ><
とは思うものの。

最初の時点で会陰部を診察できていないのは良いんです。どうせ導尿だろうという読みもあったし、本人が嫌がっているのに無理に診察するのも何なので、何回目かに診察室に呼んだ際かな、と思っていたので。


でも、最初の病歴聴取の時点で外傷の既往を聞いていたにも関わらず、それを全く気にも止めていなかった自分を後で猛烈に反省しました。。
だって、カルテにも「4日前にお風呂をまたいだ際にぶつけ、その後から排尿時痛を訴えている」という記載してるんです。

にも関わらず、頭は(下部)尿路感染に凝り固まっていた。。。
外陰部裂傷は鑑別にすら上げていなかった。 反省。
せめて、Most likely: 下部尿路感染症、need to rule out: 外陰部裂傷、程度に鑑別に挙げておきたかった。。
最終的には診断できているからいいようなものの。。。

 そして、abuseじゃないよねぇ、多分。
小児科の当直の先生にも見てもらってて帰宅にしてるし。
いろいろと学びの多かった症例でした。

Oct 23, 2011

診療速度

うーーん。
私、まだまだ遅くって、すごく時間がかかるんです。

救急外来に患者さんが来て、お話を聞いて診察して、まではいいんです。
一応軽く鑑別を考えながらの問診も少しずつ身に付いてきました。

あまり迷わずに病歴は取れるし、その人に必要と考えられる診察の上から下までざっと、までは早いんです。

なんだけどね。なんだけどね。
検査を決めるのがまず悩んじゃって時間がかかるんです。
自分の挙げた鑑別を過不足無くrule in / rule outするには、いったい何をすればいいのか。
まだ、今の私には夜間救急だからこれはちょっと、、、という選択肢はありません。
というか、そこまで考える余裕がありません。

で。
ひとまず最小限の検査を入れて、その結果を見たり上の先生に相談している間にさらに検査を追加したりとか、いろいろ。
検査結果を見てまた悩んだりするし。

そうこうしていると受診から帰宅までの間にけっこう時間が経ってたりするんですよねぇ。。。
申し訳ないことに。。。

早くもっと慣れてもう少し効率よくさくさくと診療を進めたいものです。
時間は有限ですから。決まった時間の中で来た人をみんな診ないといけないですから。
難しいやね。少しずつ少しずつだわね。

Oct 16, 2011

saori - 命のバトン -

http://www.youtube.com/watch?v=1b69U_3TmE4%20

という動画があります。
全国の救急勉強会がデータを持ってるんじゃないかなっていう有名な動画。
AEDが広まったきっかけとなった女の子の話。

端的に症例報告的に言うと。(最近嫌で見てないから詳細は怪しいけど)

16歳女性。
特記すべき既往歴なし。
運動中にVfとなって救急搬送。
By stander CPRはあった(?)けどAEDは当時なかった為使用されず。
病着時、心停止継続し波形はVfで除細動を施行され、自己心拍再開。
心停止の時間が長かったため、虚血性低酸素性脳症から脳死の状態となり、4日後に死亡確認。

その間の母の心境などがおりまぜてある、音楽が流れていて、写るのは文字が中心の動画です。
学生の頃からこれが苦手で、音楽を聞くだけで涙が出るんじゃないかっていうくらい、辛くなっちゃう動画。
最初に見た時は、ビックリして本当に泣いてしまった。
その後は音楽を聞いただけで、目が潤んで来てしまうのが分かるから、部活でBLS講習の最後などに流す際は逃げてる。

学祭で後輩たちがBLS講習会をしていて、最後に流してた。
すごく久々だったから、最初見てたんだけど、やっぱり見れずに途中退席。

多分、実際に見た患者さんたちが重なってしまうから。
その時のご家族の様子とか、我々医療者側のこととか、全部よぎってしまうから。

だからだと思う。
学生から涙が出てしまって見られなかったけど、医者になってからさらに見られなくなった。
でも、この間も日記に書いた気がするけど、人の死にある程度鈍感にならないと医者はやっていられない。
でも、やっぱり辛いのは辛い。完全に鈍感になんてなれない。

youtubeにあったので、上にリンクを貼っておきます。
5分程度のもの。これを見て、By stander CPR(その場にいる人が行う心肺蘇生。)が必要なんだ、BLSを学ぼうかなと思ってくれる人が少しでも増えますように。

Oct 12, 2011

panayiotopoulos syndrome

聞いたこともなかったけど、小児のてんかんの6-10%をも占めているらしいです。
3-6歳に多く発症する、予後良好な特発性部分てんかんです。

典型的には、
・夜中(睡眠中)
・嘔吐などの自律神経症状を伴う
・脱力、凝視などが多いが、どんなけいれんもありうる
・多くが10分以上で重積することも多い

で、発作頻度としては多くなくて、3割は一生に1回。
5回以上起こすことはまれだけど、10回も20回も起こしちゃう人もいるんだとか。
熱性けいれんを併発する場合も多いんだそうです。

このてんかん自体はは発症2年間で寛解する人がほとんどで、その後の再発はまれで、精神運動発達は保たれて予後良好なのだそうです。
だから、経過を見ていって、再発が多い時には抗けいれん薬の内服を行ったりするけど、基本的には予防内服いらないんだそうです。
脳波を正常化させることに躍起にならなくても、脳症の類ではないから、発達予後は大丈夫、と。

検査としては、脳波で後頭部に棘徐波を認めることが多い(特発性後頭葉てんかんの一種なので)ですが、棘徐波の頻度や部位は発作の症状や持続時間、発作回数とは同期しません。

というてんかんです。
けいれん重積を起こして運ばれてくることが多いけど、大丈夫なものとして覚えておいて損はない疾患かな、と。

それにしても、初めて聞きました。
カンファでも、熱性けいれんじゃないのか、とかいろんな突っ込みが入り、議論勃発しました。
まぁ、私が違うって言っても説得力ゼロですけど。
基本的に、運ばれて来た時(けいれんを起こした時)または、搬送後の処置中くらいに熱がないのであれば、熱性けいれんは否定的です。

うーん。神経はやっぱり難しい。

Oct 8, 2011

BLS

今日はBLSヘルスケアプロバイダーの講習会を受けてきました。
(BLS=basic life support 一般の人でも受けるような心肺蘇生のコース)

インストラクターはTESSOの後輩たち。
先日インストラクターを取得したところなんだとか。

たまたま先日この話を聞きつけ、ぜひとも受けたい!ってお願いをして受けさせてもらいました。
BLS自体も学生のとき以来だから2010は自信ないし、そもそも小児のBLSはうる覚え的な感じだったし、PALS(pediatric advanced life support 小児に特化した、急変時の対応のコース)受けに行く為には事前にBLS必要だしね。

違いをしっかり学び、院外急変時および、院内で見つけた場合のSTATコールで人手が集まるまでの対応は自信を付けたかな。多分ね。
あんまりそういう場に遭遇はしたくないけどね。

ただ、非常に疲れました。
胸骨圧迫(いわゆる心臓マッサージ)は5cmという深さまで、100回/以上のペースで押します。

けっこうけっこう疲れるんです。
本当の患者さんに施行している際は質が落ちてくると押す深さが浅くなってきます。
自分でも分かります、押し込めなくなってしまうんです。
だから、基本的に2分(胸骨圧迫30回+人工呼吸2回を5サイクル)で交代することになってます。
無理に長い時間やってても良いことは何もありません。
交代の間の時間を短くできるように待機をしててもらって、ちゃんと交代した方が質が保たれます。

でも、体力がないのか筋力がないのか。
私の場合、だいたい1分から1分半程度で質が落ちてきます。
だから、それくらいで交代をお願いしてしまっています。

今日は講習会ですから。
無理にでも5サイクルやるんです。
いやぁ、ホント疲れました。
体重をかけてるから、そんなに力を入れている訳ではないはずなのに、でもやっぱり2分の最後の方は押せなくなってくる。
小児はともかく、大人の胸骨圧迫は30歳を超えて来たら厳しいかも(笑)


そして、今日は本当に後輩たちに感謝。
学生対象だったはずの今日の講習会に私を混ぜていただけたし。
やっぱり、教え慣れているというか、下手な上の先生より教えるの上手だよね。
みんなのパワーはやっぱりすごいや。
勉強したいこといっぱいあるもん、私も頑張ろう☆