せっかく小児科を回っているので、忘れる前に小児科のnoteについてでも。
[CC]
[HPI]
[PMH]
[PSH]
は大人と同じです。
念のため。CC=chief conplaint=主訴, HPI=history of present illness=現病歴, PMH= past medical history=既往歴, PSH= past surgical history=手術歴
[Nutrition] breast feeding/ formula, ml x times/day, about min/time
栄養については大事な問診事項。
breast feeding(母乳)なのか、formula(人工乳。milkは牛の乳のことだからダメ)なのか。
どれくらいの量を何回飲んでいるのか。合計量から栄養を計算します。
1回にどれくらいの時間がかかるのか。
ちなみに、哺乳は赤ちゃんにとってはすっごい運動。
だから、心臓が悪かったり、何かの病気を持っていると、すぐにミルクの飲みに関わりますし、一番症状が出やすいのは哺乳のとき。
だから、心不全があると、哺乳時にすっごい汗をかきます。
[Delivery hx]Vaginal delivery / C-section Gestational age w d, birthweight/height g/ cm, Apgar Score /
これも小児科、特に赤ちゃんの場合は大事な質問事項。
Vaginal delivery(経膣分娩。NSVD=normal spontanious vaginal deliverlyとも。)か、C-section(帝王切開)なのか。C-secの場合は、"なんで?"っていうのも聞いたりします。
Gestational age(在胎週数。日本では何週何日と言うけど、ここでは38 2/7と書き、"38 two seventh"と読みます。)
birth weight/height/head circumstance(出生体重、身長、頭囲。日本ではよく2890gとか言うけど、ここではkgです。全部英語で発音すると長いでしょ?)
そして、いわずと知れたApgar Score。1分値と5分値と併記。
また、これ以外にも、妊娠中に合併症が無かったか、スクリーニング検査(GBSとか。)の結果とか、お母さんの持病とかも書いたりします。
[GHx]Laugh mo, hold up head mo, roll over mo, sit up mo, crawlsmo, standing w/ support mo, standing w/o support mo, walkmo, run mo
これが必要になる年齢は限られてるけど。
(出生何週、とかだとまだ全然だし、逆に正常に成長しきった子だといらないし。)
一応ね。
[Vaccination] Up to date
HBV(+/-), DTP-IPV-HBV(2mo+/-, 4mo+/-, 6mo+/-), Hib(+/-), PCV(+/-),rotavirus (+/-), HAV(+/-), MMR(+/-), Varivella(+/-), tetanusbooster(+/-), meningococcus(+/-), influenza(+/-)
カルテに記載するときはUp to dateの一言で済ませます。
日本ではまだまだ普及していないHibワクチン(ヘモフィリスインフルエンザ菌。髄膜炎を起こして、乳幼児では大事に至ることもある。冬に流行るインフルエンザはインフルエンザウイルスで、別物。)もここでは義務です。
というか、日本はワクチンが義務じゃないものが多いから、集団予防という観点から考えると効果低いと思うのよねぇ。
[Med]
[All]
[SHx] sick contact (+/-)
[FHx]
[ROS]
これも大人と同じ。
違うのはsick contact を聞くことくらいかな。
でも、大人でも"刑務所に入ってた人とお友達ですか?"とか聞くから、同じといえば同じ。
(注。ちなみに、刑務所に入ってる人とかだと、結核を持っている可能性ありだから。)
同様の理由で、誰とどこに住んでいるのかも必ず確認。
Physical exam
以下、診察は大人と同じことも多いから、大人と同じ部分は飛ばします。
略語とか分からなくて、知りたい人は4月の日記を参照してください。
[GEN] cm, kg, well developed and well nourished, well appearing, in NAD
これも大人と同じです。
大人だと、体重をそこまで厳密に気にするわけではなくて、内科だと身長体重がフィート・ポンドで記載されてたりしますが、外科・麻酔科・小児科など、体重を厳密に気にする科ではcm/kg記載でありがたい限りです。
ただし、親に伝える出生体重はポンド(lb)。
一度、外病院の出生体重のカルテの記録がkgとlb両方で、換算したら違ってて(軽く500g以上違った><)、さらに親が覚えていた体重がlbなんだけど、記録とまた違うという、なんとも言えない事態になりました。
心疾患を持っている子だったから、いったい2ヶ月で(2ヶ月の子だった)どれだけ体重が増えているのか、というのは大事なんだけどなぁ。。。
ここがまたアメリカの驚くべきことなんですが、母子手帳というものが無いらしいです。
ホント?と疑いたくなるんですが、親に聞いてもそんなもの持って無いって言うし、先生に聞いても、"そんなの日本にはあるの?へぇ。患者さんが医療情報を持ち歩くの?"と不思議がられるし。。。
だから、正式な病院のカルテを取り寄せない限りは、親の記憶に頼るしかないんですよね。。。
妊娠中の経過、出生時のこと、ワクチンなど出生後のこと、出生後の成長記録、検診記録など。
持ってないの。。。
[VS] T , P /min (reg/irreg), BP / (supine/sitting/standing),RR /min (labored/unlabored/), retraction breathing(-/ superclavical,intrecostal, subcostal) SpO2 %(RA/l O2 nasal/mask),febrile/afebrile
当然、大人と同じ。基準値が違うだけ。
ちなみに、体温も体重と同じ原理で、大切にする科では摂氏を使います。
というかさ、なら初めからみんな統一すればいいのにね。
医療ミスにつながらないのが不思議。
本当に赤ちゃんの場合、または心疾患を疑う子供の場合、血圧、脈触知、SpO2は四肢すべてで(または右腕と右脚で取ります)。
[Skin] warm, moist, no rashes, no color change
けっこう大事。
全身見ます。典型的な異常所見としては、
salmon patch, hemangioma, Mongolianspot, jaundice, cyanosisなどなど。
[HEENT] AFOSF, NC/AT, normal eye and ear position, EOMI, normal retinal reflex, palate intact, MMM
大人よりも所見が取りにくい><
寝てるし、協力してくれる訳じゃないし。。
AFOSF=anterior fontanel open, soft and flat=大泉門が開いていて、膨隆も陥没もしていなくて、正常ってこと。
normal eye and ear position。私は自信がなくて、no obvious facial abnormalitiesと記載していることも多いけど。耳が低い位置についてないかな、顔面の奇形ないかな、ということ。
先天疾患で顔面に異常が出ることも多いし、心疾患だと特に合併することが多いから。
EOMIは当然ながら指を目で追ってもらう訳ではなくて、ちゃんと全部の方向を見るか、というのを観察してる訳です。
normal retinal reflex=網膜反射が正常。多分、本当はもうちょっとちゃんとした書き方がある気がするけど。神経芽腫とか先天性白内障とかだと、白い。らしい。私は写真でしか見たことないけど。
palate intact=口唇裂、口蓋裂がないよ、ってこと。
ちなみに、
perioral cyanosis=peripheral cyanosis
mucous cyanosis=central cyanosis
ということで、ちゃんと両方見るのも大事。
[Neck] supple, no palpable lymph nodes, no mass or pits, no nucual rigidity
これまた赤ちゃんの首は分からんです。2歳くらいまではリンパ節とか無理!(私が、じゃなくて、偉い先生でも無理。大人だと首の欄はもっと項目多いけど、そういう都合上、少ししか無い。)
ただし、首のしわを全部伸ばして、変なくぼみとか出っ張りとかないことは必ず確認します。(そういう奇形があるから)
nucual rigidityは、あっちこっちに首を動かしてればOKだし、赤ちゃんとかで診察中にこちらがあっちこっちに動かして嫌がらなければOK。
[Lung] normal effort, no grunting/flaring/retraction CTAB, no rales
基本は同じ。
努力呼吸をしていないか。
grunting=変な音を立てていないか。
flaring=鼻翼呼吸をしていないか
retraction=陥没呼吸をしていないか
[CV] normal S1/S2 no S3/S4, no m/g/r, PMI at th intercostal space onmidclavicular line
まぁ、当然ながらこれは大人と同じです。
よって省略。赤ちゃんの方が脂肪はないし、胸壁は薄いし、音自体は聞きやすい。
ただし、泣かれたりむずがられると、もっっっのすっごい聞きにくい(場合によっては無理)から、診察の最初にLung/CVを終わらせるのが鉄則。
[Back] no scoliosis, no tenderness, no mass
まぁ、大人と同じだけど。
特に小児の場合は側湾とか、二分脊椎とかの先天異常を除外するのがポイント。
[Abdomen] soft, NT/ND, +BS, umbilical, no bruit, no masses, noguarding, no rebound tenderness, liver palpable cm below costalmargin, no splenomegaly, no ascites
これもまぁ、同じ。
赤ちゃんの場合は肝臓が触れても異常じゃないっていうだけかな。
[GU] normal tanner 1 female/male, patent anal
赤ちゃんならね。絶対確認。
rectal検査自体は必要な場合のみですよ、当然ながら。
[Ext] WWP, nl. turgor, no C/C/E full ROM, no limb deformities, good peripheral pulses at radial, femoral, popliteal,posterior tibial and dorsalis pedis., cap refill<2sec
WWP=warm, well perfusion=ちゃんと血流がありますよ、ってこと。cap refillも見ます。
後は違いは赤ちゃんの場合、大人ではルーチンでは取らないfemoralがルーチン、っていうくらい?
また、ここで覚えた便利な単語がacrocyanosis。指先だけのチアノーゼのこと。
最初、slight cyanosis in fingers and toesって書いてたら、先生に教えてもらいました。
こっちの方が圧倒的にかっこいい書き方だよね。
[Neuro] awake, interactive, crying, symmetrical face, good muscle tones, moves all ext., no clonus
Primitive reflex: suckling, rooting, palmar, plantar, Babinski, Moro,parachute, pullup response
当然ながら、子供は徒手筋力テストに協力はしてくれません(笑)
見当識(ここどこか分かりますか?今日何日ですか?私の職業分かりますか?ってやつ)も取れません!!
ということで、小児神経でない限り、ルーチンで見るのはこんなものです。
神経内科では当然ながらもっと取りますよ。
その他:
-体重増加具合。一日何グラム増えているか。
-I/O、栄養計算。体重あたりに直して、適切量の尿排泄があるか、栄養取れているか。
など。大切なことは沢山!
1 comment:
good points and the details are more precise than somewhere else, thanks.
- Murk
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