昨日、目の前で「瞳孔径がどんどん開いていって、除脳硬縮になった」と書きました。
怖くてその後は、電子カルテを確認できなかった、と。
今日。
west consultの患者さんリストにその患者さんがいることは朝から認識していました。
だけど、やっぱり電子カルテは見なかった。
脳死判定したのかな、どうなったんだろう。
そうは思いましたが、見れなかった。
そしたら、午後、回診時。
最後の最後に、その患者さんのところへ行きました。
理由。
脳死判定。
そう、死亡宣告、脳死宣告をするのはメインのmedical teamの医者ではなく、Neuroの医者だったんです。
昨日立ち会わなかった訳ではなく、今日、行われたんです。
しかも。
Mari,やってごらん、と、脳死判定のcriteriaを渡されました。
瞳孔径8mm/8mm。
対光反射なし。
角膜反射なし。
咽頭反射なし。
咳嗽反射なし。
耳に冷水を入れても反応なし。
腱反射なし。(これは出てOKだそうですが。)
痛み刺激に反応なし。
眼底もedema。
なんとも言えませんでした。
目が単なる昏睡と違うと感じました。
説明うまく出来ないんですが、見た瞬間に「あ、死んでる」と思うような目をしていました。
瞳孔が散大しているというのもそうです。
普通の人の目はいくら暗くてもあそこまで散大しませんし。
光を当てても反応しない、というのもそうなんですが。
角膜も違うと感じました。なんというか、sharpではなかった。
脳死ですから、体に変化は出ないはずなんですが、それでも何かが違う、と感じました。
単なる昏睡とは違う、と。
最後に、無呼吸試験をしました。
始める前に、血中二酸化炭素が正常であることを確認。
100%酸素で5分以上換気。
その後、挿管している管を人工呼吸器からはずします。
ただし、酸素を肺に流し続けます。
10分間、人工呼吸器から外し、呼吸が出るか、脈が上がるか(自律神経の反射が働く)などを見ます。
人工呼吸器を外したら、本当に呼吸しませんでした。
心臓は動いていますし、モニター上も心電図に異常ありません。
血圧も正常ですし、SpO2も100%を保ったままです。
でも、呼吸をしません。
10分後、検査を終えた時点でのPCO2は70を越えていました。
以上の結果から、脳死判定1回目は、脳死、という結論です。
おそらく、2回目も行うのだと思いますが、既に臓器提供協会には話が伝わっていて、おそらくはレシピエントの候補も絞られているのだと思います。
脳死は人の死です。
今でもそう思います。
私が今日行ったことに間違いはありませんでしたし、躊躇いはありませんでしたし、怖いとは思いませんでした。
昨日、怖いと思ったのは、目の前で死に向かっている、現在進行形で瞳孔径が開いていき、除脳腔縮になっていく、という状態だったからだと思います。
それでも、なんとも言えない感覚は残ります。
状態がどんどん変わっていった昨日の患者さんも、今日の患者さんの目も、一生忘れることは出来ないと思います。
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