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Nov 7, 2012

悲鳴

今日、生まれてからずっと担当させてもらっていた子がお星様になりました。
私、看取りってしたことがありません。
(ERにCPAOAで運ばれて来た人は除く。自分の担当患者さんでのお看取り)
だから、最期の最期の瞬間って見た事が無いんです。
死亡確認を取ったこともありません。ドラマの中で見た事があるかな、くらい。

乏尿になって10日、無尿になって3日。
今朝の採血でKが8台まで上がって来ていました。
だから、覚悟はしていて、朝から他の患者さんの用事がない限り、張り付いていた。
ママが面会に来ていて、一応今まで通りだったんです。
でも、あんまり声を出さない子なのに、泣くときも泣き顔と涙だけで泣き声は上げない子なのに、今日は午後から私の顔を見るとぎゃーーーって悲鳴を上げていたんです。
ママと看護師さんとは、「私何かしたかなぁ?嫌いになっちゃった?」とか言ってたんですが、すごく嫌な予感がしていました。

比較するのはおかしいんだけど、前に飼っていたウサギがお星様になったとき。
鳴けないはずのウサギが、最期の間際に、ぎゃーって悲鳴を上げたんです。
今考えても不思議なんだけど、なんだけど、鳴いたんです。
呼んでくれたんだ、って私は解釈してるんですけど。

同じだった。
普段泣かない子なのに、ぎゃーーって必死に声を出していた。
怖かった。

その1時間後。
突然、呼吸をしなくなりました。
他の子の呼吸が悪くて、少し目を離した瞬間のことで、別の看護師さんが飛んで呼びに来てくれました。

覚悟はしていたものの、あまりに急なことで私もどうしたらいいか分からず(親御さんとは前から、胸骨圧迫や強心剤は使わない、気管挿管はしないけどmask baggingはする、と話し合いをしていたんですが。)mask baggingを必死にしながら、上の先生を呼んでもらう。
上の先生が来てくれて、mask baggingをしても、心拍数が100に乗らなくなってきて。
ママに、呼吸をしなくなってきていること、だから大至急他の家族に連絡を取ってほしいことを伝えて。

最期、ママの抱っこにして、お顔が見えないから、とmask baggingを止めた途端、心拍数が低下、flatになっていった。
ママは抱っこして、泣きながら、その子を妊娠してからのいろんな思い出を語ってくれた。
いや、語ってくれたというよりも、自分とその子に言っていたのだと思う。
私はただ相づちを打つ事しかできなかった。

客観的に冷静に見れば、児にとっては幸せな最期だったのかもしれない。
比較的落ち着いていて、抱っこしてもらっていつも通り過ごして、そしてそのまま抱っこしててもらって最期を迎えられたから。一人じゃなかった。

でも、悲しかった。
家族ではない、担当医の私でも、喪失感は大きかった。
大人と違い、両親に抱っこされての退院。お見送りをして。
夜中に家に帰ってから、しばしぼーーっとしてしまった。

ご冥福をお祈りします。

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