Pages

Mar 4, 2011

点滴一本。されど一本。

点滴って、いいイメージがあるかもしれません。
確かに、私も吐き下しが続いた後に点滴一本してもらったらとても楽になりました。

口から食べれない時に水分や栄養を点滴します。
直接血液に流した方が効果がある薬剤もあります。

だけど、高齢者などでは逆に点滴があることでせん妄(一時的な認知症みたいな感じ。訳分からなくなってしまう状態になります)を起こしたりもします。
そもそも、若い人でも、点滴なんて痛いし邪魔だし。
悪いことだってあるんです。



とある患者さん。
癌terminalの患者さん。

気づいたら上の先生が、点滴を始めていました。
最初は、末梢栄養の点滴だったんです。
確かに、一日中寝ている状態が続き、食事が半分以下しか食べられていない日が続いていましたから、いいと思います。

でも、私は疼痛があるに違いないと判断し、麻薬の貼り薬を始めたら、意識状態改善したんです。
昼間起きているようになり、ご飯も7-8割は食べるようになりました。

起きているから、点滴が気になるらしく、いじってみたりと邪魔な感じでした。
その頃に気づいたら点滴が、ブドウ糖(しかも5%とか10%とかの薄いやつ)+NaCl(要するに塩)+ビタメジン(ビタミン剤)に変更になっていました。


この頃から、私は点滴が気になって気になって仕方がありませんでした。
せめて夜は止めてあげたい。
そう思って、20時までには終わりにしました。残りがあったとしても、残破棄、という指示にして。

それでも、やっぱり気になる。点滴を止めてあげたい。
点滴の中身と食事とをきっちり計算したんです。
点滴は200kcal、NaCl2g相当。
食事は2000kcal、蛋白70g、NaCl6g、K制限、主食ハーフ。
だから、主食ハーフを解除して、NaClが足りないならそれを食事に入れればいいではないか、と。

そこまで計算した上で、上の先生に点滴を止めたい、と相談に行きました。
先生には「え、看護師さんとかが嫌って言ってるの?」と。
流石に面と向かって「いえ、嫌なのは私です。患者さんも気にしてるし、口から食べられる間は点滴止めたい」とは言えなかった。
でも、掛け合ったお陰で(?)点滴を止められました。

すごく嬉しかった。
もう半ば分からなくなってきているとは言っても、邪魔なものは邪魔だもの。
食べられてるんだから、余分な管は1つでも減らしてあげたい。


そしたら、2年目の先生に言われました。
その1本の点滴を止めることにこだわる辺り、老年病に向いてるよ、と。
確かにそうかもしれない。すごく違和感があって、止めたくて仕方がなかった。
意味ある点滴ならいいけど、他で大丈夫なら他にしたい。
でも、何科に進んだとしてもこのこだわりは持っていきたい、って改めて思いました。

No comments: