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Jan 31, 2008

中間報告 その2

私たちのテーマ、

1。ソロモン諸島においてのハマダラカの分布
2。ソロモン諸島のハマダラカの薬剤耐性遺伝子の解析

のうち、1を先日紹介しました。
今日は2のテーマをご紹介しましょう☆


まず、VGSCという遺伝子に変異が起こると薬剤耐性になります。
でも、ソロモンにいるハマダラカのVGSCの配列は分かっていませんでしたから、その決定からです。

このblogにも書きましたが感染研でfarauti 1の配列は解析できました。

ところが、大学に戻ってから実験を進めるうちに、farauti 1以外に、farauti 2が沢山、他のハマダラカが数匹、今までの論文にはないもの(新種か?!暫定的にtatsukoと命名)が16匹出ました。

後から出てきた他のものの配列も分かっていません。

結局他も配列決定からやり、
farauti 1、farauti 2、tatsukoの配列を決定することが出来ました☆


残念ながら(ソロモンの方々にとっては嬉しい事実ですよね)、本来の目的であった薬剤耐性はありませんでした。

でも、今まで配列が分かっていなかったものが分かったということで、論文に書くことが出来るそうです。
1。のテーマで出た興味深いデータと合わせて、一つの論文にする予定でいます♪

配列決定と一言で言っても、簡単ではないんです。
DNAを読むのは、本を読むのとは訳が違いますからねぇ(笑)

まずはDNAを増やします。配列が分からないからそれを知りたいのに、配列の短い一部(プライマー)を使って増やす、というなんとも矛盾した行程です(笑)

私たちは今回、他のハマダラカの配列やイエカ(その辺にいる蚊)の配列から推測して、プライマーを作りました。
10種類、25この組み合わせを試したところ、当たりがありました。

それを元に、以前の日記のように配列を読みます。(配列を読むことをシークエンスといいます。)


とにもかくにも、今まで分かっていなかった遺伝子配列を何種類も決めることが出来、論文になるのなら、素敵なことです♪

Jan 28, 2008

中間報告会

今日はフリセメの中間報告会がありました。
つまり、どこまで実験が進んでいるのか、今の所どんな結果が出ているのか、という報告会です。


私たちは今の所、
1。ソロモン諸島においてのハマダラカの分布
2。ソロモン諸島のハマダラカの薬剤耐性遺伝子の解析

という2本柱で、それぞれをそれぞれが発表、という形を取ります。

それが、中々面白い結果になっていまして♪


今日は1のテーマをご紹介しましょう☆

ハマダラカには何種類もあります。
なんと、日本にだってハマダラカはいるんですよー!!
そして、ソロモンにいるのはfarautiというもの。
今回の調査で出たのはfarauti 1とfarauti 2がメイン。
あと、他のハマダラカが数匹、今までの論文にはないもの(新種か?!暫定的にtatsukoと命名)が16匹。

実はハマダラカには人好きと人嫌いがいて、マラリアには当然ながら人好きタイプの方が重要です。
farauti 1は人が大好き。farauti 2は人が好きじゃない。牛とか他の動物をさします。


島によって、場所によって、ハマダラカの種類が全然違うんですよね。
飛行場の周りでは他の島にいるタイプが混ざっていたり。
マラリアの感染率が高いところでは、farauti 1ばっかりだったり。

これだけで考察出来ることは山のよう。
さらに、新種というか、まだ分からないものまでいて、面白いことこの上なしです☆

Jan 26, 2008

JATEC

JATECとは。
Japan Advanced Trauma Evaluation and Care のことだそうです。
要するに、外傷で救急車で運ばれた患者さんの処置の方法を学ぶってことです。
外傷、って交通事故とか階段から転落したとか、そういうことです。

来週、このJATECのワークショップ(講習会みたいな感じ)があります。
私も参加します。という訳で、只今その練習真っ只中なんです。

救急車で運ばれた患者さんにどう治療をしていくのか。
最初の処置のことをPrimary Surveyと言います。

一番の原因疾患を特定して治療する前段階として、まずは命に直結する問題を解決しておく必要があるんです。
詳しい検査をする以前に、呼吸が無い・血圧がものすごく低い、というような命に直結する問題をなくして、状態が安定した状態にする必要があるんです。

最初に命に直結する問題を解決する段階=Primary Survey
原因疾患を特定していく段階        =Secondary Survey


ポイントとなっていくのはABCDEです。
A = Airway 気道確保
B = Breathing 呼吸
C = Circulation 循環
D = Dysfunction of CNS 中枢神経障害の評価
E = Exposure & Environmental control 脱衣と体温管理

リーダーシップを取る医師は、患者さんを診て判断をしていきます。
その上で、必要な処置のオーダーをします。(酸素を投与してください、輸液を入れてください、レントゲン取ってください、などなどなど。)
つまり、指示だしをする係です。

AからEまで、この順番で確認をしていきます。

と書けば簡単なように思えるかもしれませんが、簡単なようで、でも自分がその役になると難しい。
軽くパニックです。えっと、なんて悠長に考えていたら患者さんは死んでしまいますし。
焦る焦る焦る。


勉強会をやる度に思うことですが、医者ってすごい。
いろんなことが頭に入ってて、それらがきちんとお互いに結びついている必要があって、複合的に立体的に(同時にいろいろなことをいろんな方向から)いろいろなことを考えられる必要があって。
冷静にきちんと患者さんに向かい合えるようになる為には、模擬患者(健康な学生が患者さんのふりをする。)できちんとできないといけない。
その前には、頭に入れるべきことを頭に入れ、実際に自分の手を動かすしかない。
頑張っていこうって思うよね。

Jan 25, 2008

医者になれる気がしない

私から見れば、すごく出来る先輩。
5年生で、でも心電図もそこらの研修医の何倍も何倍も読めるし、目の前で患者さんが倒れてもおそらくは完全に対処できるし、いろんな科の病気のこと、体のこと、本当によく理解してる。
本当にすごい先輩。

そんな先輩が今日言っていました。
「医者になれる気がしない」

私は医者になれる気はするけど、こんな私が医者になっていくというのが信じられません。
どんな仕事でもそうだけど、医者は絶対に素人では無理です。

たとえ、医師国家試験とか医者になることに医学部卒業が不必要、誰でもどうぞ、ということになっても、おそらくは無理でしょう。
6年間のこの教育を受けなければ医者にはなれないと思います。
逆に言えば、6年間の教育を受ければ誰でも医者になれます(笑)

それくらい医学部の教育は特殊です。
人のからだの仕組み、病気の状態のこと、診断方法、医師としての考え方。
自分でも驚くほど教育というのは大きな力を持っているようです。

来年からの臨床実習も目の前に迫ってきました。
もっともっと勉強しないと。そんな焦りもそろそろ見えてきています。
勉強しなくちゃなぁ。いいお医者さんになりたいなぁ。

Jan 23, 2008

新種?

だといいなぁ。

今、Solomonで採取して来た蚊を解析してます。
その中の1つに、種類の決定をする為の実験があります。

その実験結果で、私たちが今回使っている実験方法を作った人の論文にはないような変なのが出たんです。
全く新しい種類を発見してしまった、または、実験をどこかで失敗している、どちらかです。


他の遺伝子を見る実験でも従来の配列を用いて決めた方法では、うまくDNAを増やすことが出来ないので、なんとも言えない状態です。

今日から来週にかけては、その不明な種類(仮に、Anopheles tatsuko、と命名。笑)の種類を決定することに集中していきます。

まぁ、種類が分かれば問題は何もないですが、願わくば新種だといいなぁ♪

Jan 19, 2008

私は調剤薬局で調剤補助のバイトをしています。

調剤薬局というのは、病院でもらった処方箋を持っていく薬局のことです。
化粧品とか絆創膏を買う薬局とは別です。
ちなみに、そういう薬局で売っている薬(風邪薬痛み止めなど、薬ならなんでも)はOTC薬と言います。
Over the counterの略です。多分、確かね(笑)


調剤補助は1年の頃からやっていて、引っ越しても1時間くらい通って続けているので、かなり長く続いているバイトです。
『将来どこかで役に立つかもしれない。化学・薬理が苦手な私だから、少しは薬に触れる機会を持っていた方がいいかもしれない。』
そんなことを思って、「医学生ではダメですか?バイト募集していませんか?」とその時には募集が出ていなかったのに頼みこんで始めたバイトです。

当然(?)あとのバイト(現在あと4人)はみんな薬学生です。
学生も、薬剤師さんも、事務さんも、みんな優しくて働きやすい環境です。

調剤で私が気をつけている(ひいては、医師になった時に処方で気をつけなくてはいけないことですかねぇ?)ことは大きく4つです。

①薬の名前
当たり前と言えば当たり前だけど、大事。

お医者さんにかかれば分かると思いますが、薬は漢方薬を除けばほぼ全てがカタカナです。
いくら50音あるとは言え、薬の名前は何の薬かも気にして命名するので、どうしてもみんな似通っているんですよね。
さらには、ODやRやらCAやらLAやら、後ろにちょっと付くと違ってしまうんです。
(例えば、ODや口腔崩壊錠、つまり水が無くても飲める薬ってことですし。Rはresistant、つまり抗生物質と一緒に飲んでも死なないってことです。)

でも、全然違う薬になってしまうので気は抜けません。
ついでに、最近は後発品というものもあるので、先発品を処方するのか後発品を選ぶのかも注意しなくてはならないので、大変です。


ちなみに、これだけ長く続ければ、さすがの私でも薬の名前(と薬効(=何の薬か)も)はだいぶ覚えました♪

私のお世話になっている薬局は地域の薬局です。
近所の開業医のお医者さん(内科、整形外科、耳鼻科、皮膚科、眼科、精神科、小児科などなど)に加え、大学病院の処方箋を自宅近くまで持って帰ってくる患者さんがいるので、全部で2-3000種類の薬があるそうです。
もちろん、私が覚えているのはその中でもよく出るもの(さらには、先発品)がメインですが。


②規格
つまり、1錠に薬がどれくらい含まれているかということです。
薬は、あれ全部が有効成分(痛み止めなら、痛みに効き目のあるもののこと)な訳ではありません。
1錠にどれくらい含まれているかは薬によって違います。
また、多くの薬は同じ名前でも2種類以上あります。
子供は量が少ないし、症状によっても量は違いますし。
例えば、アレルギーの薬のアレロックには5mgと2.5mgがあります。

これを間違えると、多くなってしまったり少なくなってしまったりするので大事です。


③処方量と飲み方
処方箋には、一日に飲む合計量、それを何回に分けて飲むのか、という風に書いてあります。
例えば、『3錠 分3』とは1日3回、1回1錠飲むって意味です。
さらに、毎食後とか就寝前とか、そういう細かい飲み方の指示が付きます。

実は、医者はけっこうコレを間違えて処方箋を書いてきます(笑)
私も将来は要注意ですね。


④日数
何日分の処方なのかってことですね。
まぁ、当然これを間違えれば、全体の量が変わってくるので。

薬が何種類かある時に、ものによって日数が違う場合もあったりするので、これも要注意です。
また、新しい薬には処方日数の制限があったりもするので、ちょっとだけ注意します。


まだまだ間違いも多いし、知らない薬が沢山沢山沢山あるけど、楽しんでバイトを続けて行きたいと思います。
5年生からは、病棟で知っている薬を見かけることもあるかもしれない、って思うとちょっと楽しみだったりもします。
まぁ、病棟で使うような注射薬や点滴は全然扱わないから知らないですけどね。
錠剤はけっこう名前を知っていると思うんですよね♪

Jan 10, 2008

エコー練習

今日は人生初、エコーに触りました。
本物です。当たり前ですけど(笑)
今度、救急の勉強会があるので、それに向けてです。

<エコーとは>
よく体に動いている心臓とか、胎児とかの画像をみたことがあるかと思います。
基本的には白黒ですが、分かりやすく色がついていることもあります。
検査風景もドラマなどで見たことがあるかもしれません。
お医者さんがお腹などに機械を当てると、モニターに画像が写ります。

この、体に当てているのは「プローブ」といって、ここから超音波が出ていて、それが内臓などに当たって返ってきたものを測定することで、あのように体の中が見えるんです。



先輩2人のお腹を借りて練習をしました。
簡単なんだけど、難しかったです。

今回は救急で使う、という前提なので、心臓・腎臓と肝臓、腎臓と脾臓の間、肺の周り、膀胱の周り、などの、お腹の中で出血していたら血がたまる場所をパパパッと検査できるようにするのが目標です。

うーん。難しいよぉ。
プローブの当て方(場所は当然のことながら、向き、押す強さ、プローブの軸など、いろんなことが問題となります)が難しい。

超音波は骨を通過することができないので、肋骨がかぶってしまうと真っ黒に写るので、その奥にあるものは全く見えません。

例えば、腎臓と肝臓の間。
肝臓は右側、高さとしては、みぞおちの右側みたいなところです。
触ってみてもらえば分かるんですが、肋骨があるんですよね。。。
下のほうにありそうなイメージがあるかもしれませんが、腎臓も意外と高いです。

なので、腎臓と肝臓の間のスペースに血がたまっていないかを見ようと思うと、素人中の素人の私は肋骨を上手く避けることが出来なくて四苦八苦しました。

もっともっと上手に使えるようになりたいです。

Jan 5, 2008

多謝

今日はバイトの後にそのまま学校へ行って実験をしてました。

研究室は基本的にいつ行ってもいいということになっています。
別に、早朝だろうが夜中だろうが土日だろうが、いいらしいです。


今日は、共同研究者のシノさんが夜に泳動をしてくれるということで、ゲルを作っておいて欲しいと頼まれていたので。
そして、どうせ行ったのなら、ついでだからPCRを96匹やろう、って思ったんですよ。

そしたら、ダメでした。。。
研究室のピペットマンは固いので、右手が使えないのは当然のことながら、利き手でない左手でずっと使っていると痙攣するというか力が入らなくなるというか。
連日実験してたからかなぁ。10回程度使った段階で一段階目すら押せなくなってしまいました。。。。

そうこうしているうちに、シノさんが登校(と言っても夜8時過ぎ。笑)してくれ、事情を話したところ、今夜残りのPCRと泳動をしてくれるという話になりました。
本当に感謝感謝感謝です。

次の実験に必要な試薬は水曜日以降にしか届きません。
手をしっかり休めてあげたいと思います。
まだまだやることあるんだもん、手は使えないと困ります。
そして、友達にはとってもとっても感謝だなぁと思う今日この頃なのです。

あんまり役に立ってないけど、論文の後ろの方に共同研究者として名前くらい出してあげてね。
なんて、都合よすぎ?(笑)

Jan 4, 2008

新年早々

さてさてさて。
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

去年はずっと学外にお世話になり続けていた私ですが、1月の間だけ(?というか、実験がひと段落するまで?)は学校に戻ることとなりました。

そして。
私たちの研究室には学生が5人います。大学院生もいます。
つまり。PCRの機械の取り合いです(笑)

そんなこんなで(?)
3日から実験スタートなボウフラ組です;;
今日も当然実験です。。。


学校にあるピペットマンはやったら固いんですよね。
なので、私の力では泳動は出来ません。ので、シノさんに全てお願いしております。

PCR、は何とか。とは言っても、19μlずつ入れるはずが、最後までピペットを押せないために18.5μlくらいしか入っていないようで、最後に溶液が大量に余っていたよぉ;;;
大丈夫かなぁ。。。

次回からは19.5μlくらいに合わせて使えば?とアドバイスを受けました。

MspⅠという制限酵素でDNAを切る作業が後60匹程度。
電気泳動をして種類の確定をする作業が後300匹以上。
VGSCのPCRをする作業が後300匹程度。
DNAをきれいにして、配列を読むための処理をするのが後390匹程度。
配列を読む作業が後390匹程度。

そして、データをまとめて論文を書くというのも残っている。。。

うーん。
まだまだのような、でも頑張れば後少しなような。
今現在、私のプライベートでちょっと欝になりそうな事件が多発していて、学校に行って実験をする気力がなくなる前になんとかしたいところではある。
頑張ろう、はやたまさん。