Pages

Aug 27, 2015

交換輸血

部分交換輸血はしたことが複数回あります。
多血が酷い子たちでした。

動脈から血液を引いてきて、静脈から生理食塩水などを入れてあげることです。
血液が濃すぎる場合、それが原因で呼吸循環障害を起こしたり、低血糖を起こしたり、黄疸になったりします。
そこで、ひどい場合は「血液を薄めてあげる」のです。


今回、初めてtotalの交換輸血を行いました。
動脈から血液を引いて、静脈から輸血を行います。
当然ながら、赤血球のみならず、血漿なども失いますから、混ぜ混ぜにした合成血を使います。

酷い黄疸、溶血などで、いわば「血液を入れ替える」治療です。
今回は、TAM(一過性骨髄異常増殖症)で白血球が見たこともないような数字の子で、その白血球を取り除くために行うことになりました。

やり方は部分交換輸血と基本的には一緒です。
ゆーっくりと血液を引いてきて、同じ速度でゆーっくりと血液を入れていく。
間間で血液の濃さや凝固機能などを調べながらじわじわ。
totalの交換輸血では、量も多く時間がかかるのと、間でカルシウムも補充しながらです。
(保存血のクエン酸によってカルシウムが低下するから。)

初めてでしたが、いやはや、なかなかに大変ですね。
もうやりたくないかな。。。

Aug 21, 2015

臨床研究

しっかり実験して、という基礎研究に対し、普段の臨床での疑問を元に臨床の場でやる臨床研究。

今までの子たちのデータを集めてきて何か言えることはないかという、レトロスペクティブ(後方視的)研究の方が簡単。

でも、今回私たちがやろうと思っているのは、介入研究。いわゆる前向き検討。
2群に分けて、それぞれ異なる治療をしてどう違うかをみるもの。

とはいえ、治療法自体はさほど副作用的なものもないし、物珍しくもないんだけど。
普段治療をしていて○○という印象があるんですよね、と言ってみたら、確かにそういう検討は今までの論文でもされてないから比較してみたら面白いかもね、と先輩に言われたことがきっかけ。

どういう風に計画したら、確実に違いを言えるのか。
どういう計画にするのが現実的だし、有害なことがないか。

考えましたよー。
計画することなんてやったことないから、難しかった、、、

そして、倫理審査委員会の膨大な細かい書類を書いてみました。
オッケーは出るのでしょうか?
そして、違いは出るのでしょうか??

Aug 20, 2015

一例の重み

一例の重み。

なんか、投票の一票の重みではないですが。
一例一例、一人一人、それぞれの児、それぞれの家族の生命・人生がかかっています。
どの一人も非常に大切で、どの子がより重要で、ということはありません。
(もちろん、どの子がより「重症で」ということはありますから、より治療や手間暇がかかる児というのはいますが)

そして、その一例一例が集まった時、全体で見えてくることというのもある。
そのデータを集めるのが、いわゆる臨床研究ですよね。
データを解析するタイプも、介入研究タイプもありますが。

そして、一例一例から私たち医療者が学ぶこともある。
学ぶことの多さは、それぞれ大事な一人一人とはいってもそれぞれ違うし、学年や今までの経験によっても変わってくる。

今の私にとって。
一人一人の子の生命・人生を考えて先々の治療プランを考えることは非常に勉強になっています。
先輩方の指導を受けつつ、ご家族の様子を見つつ。
いつ検査をするのか、いつ治療に踏み切るのか、いつどういう風にするのか。

まだまだ経験が足りないので、持たせてもらう子一人一人から学ぶことが非常に多い。
より多くの子を診せてもらいたい。より多くの子の経過・成長に寄り添わせてほしい。

そんなことを最近思っているはやたまでした。

Aug 14, 2015

小児科と内科

以前、小児科と外科で視点が違うということを書いたような気がしますが。
小児科と内科でもなかなかに違うということを今回実感しました。

というのも。
とある基礎疾患を持つお母さんから生まれるお子さんがいまして。
その子の検査をどうするかについて意見が内科と小児科で異なるんですね。

小児科としては、早期診断がつけば治療介入もできるから、起こってくる合併症や後遺症を減らすorなくすことができるからよい。というスタンス。
内科としては、産後の母の状態も心配だから、生直後に症状がないのであれば、すぐに検査をしなくてもよいのではないか、というスタンス。


どっちがあっているという訳でもないとは思います。
が、なるほどなぁ、と今回思いました。

結局、折衷案が一番良さそうだということになり、少し様子をみて、でも症状が出現してきてしまう前までに検査のお話をするのはどうか、ということとなりました。
いろんな立場、いろんな視点の先生と話すと視野が広がります。
当たり前だけど、医療者以外と話をすると、もっと視野は広がりますが。

Aug 13, 2015

母体搬送

最近(といっても、私が社会人になったころにはそうだったから、5年以上)の流れとして、新生児搬送よりも母体搬送の方がよいという流れです。
間に合う状態なのであれば、お腹の中にいる状態で移動した方が赤ちゃんの負担は明らかに少なく、予後がよいことが分かっているからです。

つまり、NICU入院になるお子さんというのは。
1。院内で出生してみたら、具合が悪かった児
2。具合が悪いことが予測されずに生まれてしまい、新生児搬送になる児
3。事前からリスク(早産とかetc)が分かっていて母体搬送になって生まれる児

に分かれますが、その中でも3の比率がやはり重大なウェイトを占める訳です。


赤ちゃんみんなに元気に生まれてほしいし、元気に育ってほしい。
だけど、どうしても一定の割合で具合が悪い子がいて、その子達を助けるのが私たちの仕事。

とはいえ。
最近、当院産科が忙しくて?ということで母体搬送を取れないでいるので、今月になりNICU入院になる児が激減してしまいました。
世の中の赤ちゃんが元気ならそれでいいんです。でも、具合イマイチのまま行き先がない児がいるのなら、受けてあげたい、そう思いながら空床のクベース(保育器)を見つめる我々なのでした。

Aug 10, 2015

ロールモデル

この一週間、頭の中でぐるぐると思い悩んでいるためか、お腹も張り気味。
そして、ぐーるぐーるしている母は気持ち的にいっぱいいっぱい。

何を悩んでいるかというと。
私の将来像。

というと大げさですが。
どういう家庭にしたいか、については、はっきりある。
どういう医師になりたいか、についても、はっきりある。

が、しかし。
どういう働き方をして、どれくらい子供と向き合っていくのか。
ということに関して、具体的なことが見えてこない。

あと2ヶ月半で仕事をお休みします。
あと3ヶ月半で母になります。
あと5ヶ月半くらいで仕事復帰します。

が。
その先が見えない。
想像がつきません。

本当は、赤ちゃんのことを思えば、24時間一緒にいて、最大限の愛情を注いであげたい。
なんだけど、仕事を退職してがっつり赤ちゃんと向き合っていると、おそらくはもう現場に戻ることはできなくなる。

では、ライフワークバランスはどうしたらよいのか。
その狭間で揺れてもがいている感じです。

私の学年、私の実力では、新生児を任せてくださいなんてことはいえない。
小さい子供がいる以上は、いつでも呼んでください!的な働き方はできない。

学年があまり進んでいないで出産して働いている医師のロールモデルが少なすぎて、どうしたらいいのかが想像がつかない、というのが正直な気持ちです。

職場も中途半端。母としても中途半端。妻としては中途半端どころか…。
どうしたものでしょうね。なるようにはなるのだと思うんですが。


追記:
と思い悩み、とある先輩にメールをして、そのメールにはっとさせられました。
お母さんになることは素晴らしいこと。
妊娠中で大変なのに、いろいろとこなしてくれてありがとう。
「迷惑かけて」って思っている人がいたら、俺が張り倒してやる。
みんながお互いを気遣って、優しくなれるグループになってほしい。
そんなような内容でした。

この学年で(世間的な年齢的には適齢期なのですが)妊娠したことがずっと後ろめたくてその分頑張らなくちゃ、ってやってきていて。
涙が止まりませんでした。来年、どんな人事になっても、どういう働き方になっても、その時々で頑張ろう、って思いました。