患者さんのご家族の言葉が胸にささった。
「それが仕事でしょ。」
分かってるよ。仕事だよ。この仕事を選んだのも私自身だよ。
でも、いくら仕事とは言っても、人相手のこの職業、そう簡単に仕事って割り切れる訳じゃない。
患者さんが苦しんでいるのを看るのは辛いし、その苦しみを取ってあげたいって思って出来ることを必死に探して、いろんな人に話も聞いて、朝早くから夜遅くまで必死にやってる。
もちろん、それが仕事なんだけど。
でも、辛かった。
とある子のご家族。
医学的には、もう限界(生命的にも危ないくらいの限界)で、気管切開が必要だと私たちは思っている子。
現在の児の状態も説明してるし、挿管のメリットデメリット、気管切開のメリットデメリットもお話してきた。
確かに、いくら命が危ないとは言っても、話を急いでしまっていた私も悪いとは思う。
これに関しては、すごくすごく反省もしています。
だけど、私の仕事を減らしたいから気管切開をおきたい訳じゃない。
私だって好き好んで気管切開なんて勧めない。
ご家族に言われました。
「bagging(用手で人工呼吸をしてあげること)の手間が減るから気管切開を急ぎたいんでしょ。」
「でも、それをやるのが仕事でしょ?」
半年以上お話を重ねて来たご家族からの言葉に衝撃を受けました。
悲しかったというのもそう。
出生後からずっと担当している者として、状態が悪いから沢山ベッドサイドにいてbaggingやらの処置をしているのは当然ながら、状態が悪すぎていつ急変するのかが怖くて、ここ数週間安眠なんてしていないくらいに考えて、いろんな人に意見やアドバイスももらいながら出来る限りの事をやってきていて。
そんな苦労を一言で否定された気がしました。
そして、それ以上に、ご家族があまりに児の現状を分かっていないことにも驚いた。
私たちの手間云々ではなくて、その子が限界で危ないっていう話をしてるのに。
朝も昼も夜も苦しくて苦しくて苦しんでいるその子を看ているのが辛くって、その子がいなくなってしまうのが怖くて、「単に仕事で看ているだけの」私ですら、裏で何回泣いたか分からない状態なのに。
どうしてご家族が子供の苦しみを分かってあげないの?
来る時に極力落ち着いているようにしている、っていうのはあるにせよ、目の前で苦しくなったことだってあるでしょ?どうして?
受け入れたくないという気持ちもあるのだと思う。
来た時に落ち着いていることがあるとそれでホッとして全然問題ないって思いたいのも分かる。
気管切開したくないのも分かるし、望んでいた元気な子ではなかったのかもしれない。
だけど。
この状態で、言葉上は同意をもらえても、児の状態をちゃんと理解しないで気管切開を置いてしまったら。その状態で急変したら。
私に怒りをぶつけて収まるのであればいいけど、それではご家族は納得いかないのではないか。
でも、一方で気管切開を勧めて来たのに、状態が悪すぎて麻酔がかけれなくなって施行できなくなったらそれはそれで後悔が残るのではないか。
いろんな想いが交錯して、カンファ室でふと「気管切開おかない方がいいんですかね」ってもらした。
ご家族に「それが仕事でしょ?」と言われたことは伏せて。
ただ、現状の理解が非常に悪いという説明をして。
ご家族の一言でぶれるのは良くないよと言われた。
主治医として、気管切開が必要だと考えてるんでしょ?と。
主治医として、何がその子に必要なのか、何がその子にとって良いのかを悩んで考えるのは必要だけど、必要・良いと思うことに関して、ぶれないで一環した意見でいいんだよ、って。
ふと涙が頬を伝ってしまった。
他の友達や先輩はともかく、今一緒の部署にいる先輩たちの前では絶対に泣かないって心に決めていたのに。
やってしまった。しかも、私よりも辛い思いをしているだろう先輩を前に。
そのことで更に凹んでしまうという悪循環。
大丈夫、今夜寝て断ち切ろう。明日からまた明るく頑張ります。
私のお話の仕方がまだまだ下手くそなんだろうとは思います。
またご家族とお話してみます。
No comments:
Post a Comment