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Oct 23, 2012

引かない

私、引きません(笑)

ホント、患者さんを引きません。
学生の頃からそうでした。ERを回っていても、私が初療室にいると救急車が来ない。
研修医になってからも、当直はほとんどが寝当直。

ただし、診たい!って言っている疾患は診れることがほとんどだし、日中はひきます。
なので、当直はほとんど何もないんだけど、日直はそれなりです。
お得といえばお得、成長が遅くなると言えば遅くなる。

逆に、平和なはずの日にすごく荒れたり、ひく先生は非常にひきます。
病院の七不思議。なんでですかねぇ?
(あ、ちなみに、普通の人は引いたり引かなかったりちゃんと波があります)


NICUに来てからもそうです。
私が当直中は非常に平和です。

生まれるかも!(しかも、具合悪そう!)って21時に言われて。
覚悟していたのに生まれないままに当直が終わり。
翌日の14時に、あまりに生まれなくて確認したら「まだ時間かかります。」って言われたので、諦めて私が帰って。
帰った20分後に「生まれます!」って他の先生が呼ばれるという。。。

おかしい。
そして、昨日もしかり。
当直あけ。非常に平和だったため、16時に帰宅。
今朝行ったらNOを吸っている、17時に緊急帝王切開で出生した子が。。。
なんだかなぁ。

Oct 22, 2012

心を無にする

先輩の言葉です。

辛くて辛くて、でも直接話したりしたら泣いちゃいそうで。
その患者さんを知っている先輩にメールをしたんです。
どうしたらいいか分からない、と。

言われました。
何が正しくて、何が間違っているかわからないのが臨床の場だけど、その中で悩んでぶれて良いと思う、と。やってきたことは間違っていないと思う、と。
その一言になんだか救われました。

悩んでるんです、どうするのが患児にとって一番いいのか。
悩んでるんです、どう話をもっていくのがご家族にとって一番いいのか。
今の事もそうですが、今後の事もそう、その子がもし亡くなってしまった場合のこともそう。

考えたり悩んだりしてもぶれない方がいいよ、っていうアドバイスをもらったこともあります。
それもそうだと思うんです。私がちゃんと筋がある治療方針を立ててご家族にお話をする方が説得力もあるし、ご家族も安心したり信頼してくれるとも思う。
結局今のところ特にぶれずに来てますが、でも、ぶれてもいいって言われたことですごく楽になりました。


そして、言われました。
いろんな事を言われることがあるけど、そういう時はひたすら心を無にするんだよ、って。
そうやって自分を守りながらも、心の中の強い意志をしっかりと保ち続けて、良いも悪いも受け入れた上で、子供たちのために少しでも現状より前に進んでいくのだと努力するのだ、と。



心を無にする。できそうでできない。というか、そもそもできそうにない(笑)
でも、そうしていかないと、自分の心を守っていけない職業ですよね、きっと。
そして、そうしていかないと、冷静に患児にとって最善のことを模索することなんてできませんよね。


医師。
多分、一般の人が想像するよりも、はるかにシンドイ仕事だと思います。
体力的にも、精神的にも。
真剣に向き合おうとすればするほど辛くなる。キツくなる。
でも、そこから逃げずに向き合っていくしかない。

Oct 18, 2012

仕事でしょ

患者さんのご家族の言葉が胸にささった。

「それが仕事でしょ。」

分かってるよ。仕事だよ。この仕事を選んだのも私自身だよ。
でも、いくら仕事とは言っても、人相手のこの職業、そう簡単に仕事って割り切れる訳じゃない。
患者さんが苦しんでいるのを看るのは辛いし、その苦しみを取ってあげたいって思って出来ることを必死に探して、いろんな人に話も聞いて、朝早くから夜遅くまで必死にやってる。
もちろん、それが仕事なんだけど。

でも、辛かった。
とある子のご家族。
医学的には、もう限界(生命的にも危ないくらいの限界)で、気管切開が必要だと私たちは思っている子。
現在の児の状態も説明してるし、挿管のメリットデメリット、気管切開のメリットデメリットもお話してきた。

確かに、いくら命が危ないとは言っても、話を急いでしまっていた私も悪いとは思う。
これに関しては、すごくすごく反省もしています。

だけど、私の仕事を減らしたいから気管切開をおきたい訳じゃない。
私だって好き好んで気管切開なんて勧めない。

ご家族に言われました。
「bagging(用手で人工呼吸をしてあげること)の手間が減るから気管切開を急ぎたいんでしょ。」
「でも、それをやるのが仕事でしょ?」

半年以上お話を重ねて来たご家族からの言葉に衝撃を受けました。
悲しかったというのもそう。

出生後からずっと担当している者として、状態が悪いから沢山ベッドサイドにいてbaggingやらの処置をしているのは当然ながら、状態が悪すぎていつ急変するのかが怖くて、ここ数週間安眠なんてしていないくらいに考えて、いろんな人に意見やアドバイスももらいながら出来る限りの事をやってきていて。
そんな苦労を一言で否定された気がしました。

そして、それ以上に、ご家族があまりに児の現状を分かっていないことにも驚いた。
私たちの手間云々ではなくて、その子が限界で危ないっていう話をしてるのに。
朝も昼も夜も苦しくて苦しくて苦しんでいるその子を看ているのが辛くって、その子がいなくなってしまうのが怖くて、「単に仕事で看ているだけの」私ですら、裏で何回泣いたか分からない状態なのに。
どうしてご家族が子供の苦しみを分かってあげないの?
来る時に極力落ち着いているようにしている、っていうのはあるにせよ、目の前で苦しくなったことだってあるでしょ?どうして?

受け入れたくないという気持ちもあるのだと思う。
来た時に落ち着いていることがあるとそれでホッとして全然問題ないって思いたいのも分かる。
気管切開したくないのも分かるし、望んでいた元気な子ではなかったのかもしれない。
だけど。


この状態で、言葉上は同意をもらえても、児の状態をちゃんと理解しないで気管切開を置いてしまったら。その状態で急変したら。
私に怒りをぶつけて収まるのであればいいけど、それではご家族は納得いかないのではないか。
でも、一方で気管切開を勧めて来たのに、状態が悪すぎて麻酔がかけれなくなって施行できなくなったらそれはそれで後悔が残るのではないか。


いろんな想いが交錯して、カンファ室でふと「気管切開おかない方がいいんですかね」ってもらした。
ご家族に「それが仕事でしょ?」と言われたことは伏せて。
ただ、現状の理解が非常に悪いという説明をして。

ご家族の一言でぶれるのは良くないよと言われた。
主治医として、気管切開が必要だと考えてるんでしょ?と。
主治医として、何がその子に必要なのか、何がその子にとって良いのかを悩んで考えるのは必要だけど、必要・良いと思うことに関して、ぶれないで一環した意見でいいんだよ、って。

ふと涙が頬を伝ってしまった。
他の友達や先輩はともかく、今一緒の部署にいる先輩たちの前では絶対に泣かないって心に決めていたのに。
やってしまった。しかも、私よりも辛い思いをしているだろう先輩を前に。
そのことで更に凹んでしまうという悪循環。
大丈夫、今夜寝て断ち切ろう。明日からまた明るく頑張ります。
私のお話の仕方がまだまだ下手くそなんだろうとは思います。
またご家族とお話してみます。

Oct 14, 2012

私は死ぬことよりも、死にゆくことが怖い。
だから、CPAOA(cardiopulmonary arrest on arrival 病院到着時心停止)よりも、目の前で時間をかけて徐々に死んでいくという状況が怖い。

だから今の状況が1番嫌。
どんどん死に向ってるのを肌で感じて泣きたくなる。
どうにかしたいのにどうにもならない。
見ててしんどいくらい苦しいのは分かってるのに、どうにもしてあげられない。 


これも医者の仕事なんだよね。
主治医担当医として。
ご家族のご希望も聞きながら最善をつくして。
ご家族が悔いなく受け止められるように少しずつ準備もして。
一人一人の子がかけがえのない命だから。

今の私にはまだまだ出来ない。

自分が1番動揺してると思う。

Oct 11, 2012

在宅医療を進める

ちゃんと退院して、家族がいるお家に帰ること。
当たり前のようで、当たり前でない児や家族もいる。

重症すぎて帰れない子。
家でみれそうだけど、家族の状況としてみれない子。
親御さんの受け入れが不良すぎて帰れない子。
いろんな子がいる。

最近ふと思う事。
ご家族と児と双方の幸せの折衷点を見つけることも医者の仕事。
そして、児の幸せを願うのと同時に、ご家族の気持ちを最大点考えることも医者の仕事。

児の疾患によっては、沢山のハンデを持つ場合だってある。
その時に、ご家族の生活と児の生活や生命と双方の幸せを考える必要がある。
どちらも大切だと思う。

児の疾患によっては、生命予後が悪い場合だってある。
その時に、ご家族が納得して受け入れられるかどうか。
ご家族に悔いが残らないように、ご家族にとって突然の別れにならないように、ご家族がこの子幸せだったって思えるように。

そんなことを考えるようになりました。
まだまだ上手になんてできないんだけど。

Oct 8, 2012

母乳育児支援セミナー

@名古屋

ちょっと、母乳について勉強したくて、行ってきました。
ママたちに聞かれた時にしっかり答えたり、ちゃんと指導したりしたくて。
NICUに入院している子たちにとって、母乳って大切な治療の一つ。
そして、ママたちにとっても、自分たちができるかけがえのないことの一つ。

という訳で、はるばる名古屋へ。
受講料も馬鹿にはならないものの、かなり勉強になりました♪
体重増加との関連、黄疸の話や早産児にとっての母乳の話、どういう風な哺乳をしたらきちんと哺乳ができるのか。

楽しかったー♪
勉強になったー♪
この半年、いろんな勉強会に行かせてもらっていて、いろんな場所でいろんな話を聞きながら、学んでます。
行かせてもらえるって幸せですよね。

Oct 4, 2012

赤ちゃんの権利

こどもの権利じゃないけど、赤ちゃんの権利、っていう言葉。
どこかにありそうではあるけど。

うちの部長の言葉が印象的で残っています。

赤ちゃんの権利。
・ご家族にいっぱいいっぱいかわいがってもらえること
・ママのおっぱいを飲めること


そりゃそうだな、って言われてみればそうなんだけど。
だけど、重症な子の一番最初のご家族への説明の時に部長が言っているこの言葉。
半年前の私は言葉をただ理解していたんだな、って。
今の私にはストンって心に落ち着く場所がある感じ。

そう。
ご家族にめーいっぱいかわいがってもらえることは赤ちゃんの権利だし、赤ちゃんの幸せ。
ママのおっぱいを飲めることは赤ちゃんの権利だし、赤ちゃんとママと両方の幸せ。
当たり前のようで、実際に働いていると感じる深さ。