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Apr 17, 2012

声なき声

赤ちゃんたちは、具合が悪くても、助けて欲しくても、自分では訴えることが出来ない。
当たり前のことなんだけど、でも、改めて思いました。

1100g台のとある赤ちゃん。
朝から炎症反応が少し上昇していました。
原因として考えられたのは、誤嚥性肺炎。
誤嚥のエピソードもあったし、X線でも浸潤影を認めていたので。
でも、完全母乳だし、本人の全身状態も良好だったし、経過観察としていました。

言われてみれば、午後から少し活気がいつもよりなかったかもしれません。
ただ、この子はお母さんが面会に来る時は幸せそうに寝てしまって大人しいことが多いので、 あまり気にしていませんでした。

夕方お母さんが帰った後くらいに、呼吸を止めるように(無呼吸徐脈発作)なりました。
朝時点で誤嚥性肺炎と診断していたので、疑わしいのは敗血症(体中にばい菌が回ってしまっている状態)です。

ここからは速かった。
点滴ラインを取って、採血・培養(ばい菌の類がいないかどうかの検査)・尿検査などを提出。
1種類抗菌薬を開始し、血液検査で炎症反応の上昇を確認して2種類目の抗菌薬を追加。
呼吸の補助の為のnasal-CPAP(口から呼吸の補助の管を入れる気管挿管をしなくても、鼻から圧力をかけて呼吸を補助できる)開始。

この頃には、赤ちゃんはぐったりしながら、途中お休みしながらも一生懸命に呼吸をしている状態でした。
そんな赤ちゃんを見ていたら申し訳なくなりました。

赤ちゃんからの精一杯のサイン、無呼吸というサインへの対応は遅くはなかったと思う。
翌朝には(遅れて上がってくる炎症反応はけっこう上がってしまったけど)本人はけっこう元気を取り戻していたから。

だけど、あんなに無呼吸徐脈発作を起こす前に気付いてあげたかったな、って。
赤ちゃんたちをよく診ててあげることって大事だなって、当たり前のことながら改めて思いました。
普段から診てないと、違いに気付けないもの。

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