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Oct 24, 2015

マタニティーマーク

私は使ったことはありません。
怖いから。お腹の子を守りたいのに、つけていることで逆に弱点として晒して、そこを狙ってくれと言っている状態になるのは嫌だった。

結婚したくてもまだしていない女性もいる、子供が欲しいのにまだ授かっていないご夫婦もいる。
なのに、妊娠してると分かるようなものをつけて歩くのはちょっと、とも思った。

結果、つわりでオエオエしていた頃は当然ながら、お腹が大きくなってきても、電車で席を譲られたことは一度もありません。

でも、万が一の災害時に、万が一私に何かあった時に、この子を助けて欲しいから。
外からは分からないけど、カバンを開けたらすぐ分かる位置には入れてました。
救急隊や病院関係者は身元確認で開けるだろう、と思って。



妊娠は病気じゃないんだから、と言われる。
でも、ものすごくしんどい時もある。
自分の意思とは関係なく、切迫早産になることも、出血することもある。
私自身は、お腹が張りやすく、そういうときはエレベーターを立って待ってるのもしんどかったくらい。

ギリギリ大丈夫だから、と仕事をしている人もいる。
私はそうでした。結婚妊娠をしていない女性も多い中。妊娠しただけで仕事をやめる、減らすなんて言い出せない。しかも、妊娠は病気じゃないんだから、なんていう意見もありますからね。でも、結果、お腹が張りやすく、お腹と相談しながらの勤務でした。


妊娠してるなら電車乗るな、という人もいる。
でも、じゃあどう移動したらいいの?
仕事も当然ながら、健診に行くにも、実家に帰るにも、買い物に行くのでも、移動が伴います。

そんなに距離は歩けませんから、徒歩移動は限られます。
ちなみに、ゆっくりしか歩けないので横断歩道では余裕を持って渡るようにしていましたが、まだ青信号なのに早く渡れとクラクション鳴らされたこともあります。。。
妊婦は自転車は乗れません。妊婦は判断鈍るから車はよほど慣れていない限り怖くて運転できません。
電車やバスが安全です。


妊娠してるなら仕事辞めたらいいのに、という意見もネットで見ました。
でも、辞められる人ばかりではないですよね。
そもそも、妊娠は病気じゃないんだから、と配慮さえされないことだってある。
金銭面もだし、職場がギリギリの人数で回していたら?自分が抜けた時の負担を考えた時、辞める選択をできない人だっているはず。
辞めたら戻れないような仕事だったら?

私はこれです。感覚が落ちたらもう戻れない、という恐怖。
そうでなくても、女性が一度仕事を辞めたら、次には同じ仕事には戻れない、という会社だって多い。なんなら、辞めなくても、産休育休を挟んだらマミートラックに乗せられるというところもある。


いろんな背景でいろんな思いを抱えて、でも、赤ちゃんを無事に満期で産んであげたい、と思いながら妊婦さんは過ごしている。


妊娠していることに甘えるつもりはないけど、でも、妊婦さんに配慮してあげてもいいんじゃない?
自分が妊娠を経験して、ますます思いました。

もちろん、高齢者だったり怪我や病気の方だったり、配慮が必要な方は他にもたくさんいる。
妊婦さん、高齢者、など、一括りにせず、元気で大丈夫ならそれでいいし、しんどいんなら感謝しつつ配慮をいただいたらいい。
そんなことを思う今日この頃。

そして、妊婦さんたちは、つまりは日本の少子高齢化を止めるのに貢献してくれてるんだから、社会全体で感謝してみんな優しくしてあげたらいいと思うのだ(笑)

Oct 23, 2015

ガイドライン

なにごと、ガイドラインというものはあります。
あ、もちろん、まだない病気もたくさんですが、それなりの患者さん数がいるような病気ではガイドラインがあることが多いです。
そして、よりよくするため、数年に一回とか改訂されることも多いです。

新生児の母子感染予防でいうと、GBSの感染予防、B型肝炎の母子感染予防、HIV母子感染予防などなど。


そして、B型肝炎のキャリアの方が出産した場合のガイドラインが数年前に改訂されています。
新しいものでは、母子感染予防を確実にするため、グロブリンやワクチンの接種のタイミングが変更になりました。
抜けがないように、もれがないように、という目的です。
そして、感染しているかどうかのチェックの検査のタイミングも変わりました。

体重によって異なりますが、出生体重がちゃんとある子たちは、
生後12時間以内に、HBのグロブリンの筋肉注射とB型肝炎ワクチン。
生後1ヶ月と6ヶ月にワクチン。
9−12ヶ月に、HBs抗原とHBs抗体のチェック(感染成立していないかのチェック、免疫がついたかのチェック)

という方法です。
まだこれでどれくらい母子感染率が下がったかとかは分かりませんが、確かに少なくともこの方法の方が抜けが少ないのは確かだと思います。
特に、産院とかで生まれて、その後の児のフォローが違う小児科の場合とか。


ガイドライン、アップデートされるたびに学会などからお知らせがでますが、頭の中で全部を覚えきるのは大変。
B型肝炎とか、GBSとか、よく遭遇するものは覚えていますけどね、もちろん。
でも、それ以外のあんまり会わないものの場合、産科から情報をもらった時点で調べ、生まれてからも再確認してから実際に行う、という感じです。



そして、医者は生涯勉強だと言われますが、本当にそうなんだろうと思います。
数年どころか、数ヶ月間が空くと、常識が変わってたり新しくなっていたりするから。
完全にお休みしてしまうことが怖い、と学年を重ねるごとに実感しています。

下の学年の頃は、自分でも確認をして考えながらではありますが、最終的には上の先生の確認をとってしか医療行為を行いませんし、判断しません。
でも、もうこの学年になってくると、もちろん、相談することも多々ありますが、自分一人でどんどん判断を下して医療を進めていく立場になってきます。より責任がかかります。

普段遭遇するような病気の場合、その場で判断を下して診療を進めます。
(特に新生児は悠長なことを言っていられない場面も多いです。一分一秒を争って生死が決まることもある)
ん?と思ったことは、必ず文献や教科書で裏打ちをとってから、もしくは先輩に確認をとってから行います。
新生児の診療に戻ってから半年ちょっと。悩まずに判断を下して先に進める事項が多くなってきています。

でも、お休みをたくさんして現場から離れていると。
多分、その場で判断を下してその場でどんどん進めて、と出来ることが減ってしまう。
多分、正しいと思っていることでも、新しくアップデートされていることもある。
やっぱり、現場から長く離れるのは怖い。

Oct 8, 2015

よくみる

この仕事を始めて、思うこと。

よく見てる人はよく見てる。
異常を察知するのがすごく早い人がいる。

ちょっとした変化を見逃さないというか、細かいことでもよく気づくというか。
誰それさんが「○○ちゃん、ちょっと具合悪いと思う」と言った時には、ぱっと見で変化がなくても、その赤ちゃんは必ず何かしか具合が悪い。そんな人がいます。


私、自分で言うのもなんなんですが、鈍い方なので、そういう方を尊敬します。
見習いたい。そう思って、赤ちゃんをみるようにはしていますが、どうしても気づくのは遅め。ある程度はっきりしてから。
それでも、3年目と比べれば気づけるようになったかな。

何を見ていたらよいのか、言葉で分かればいいのに、と思う。
でも、異常を察知するのがすごく早い方々に聞いても、「なんとなく」とかそういう答え。何を見ている、というより全体なのかな。
全体を見ながらも、細かいところも見てるんだろうな、と思います。
後は、何に注意が必要なのかをちゃんと理解してるんだと思う。



なんで今日改めてそんなことを思ったかというと。

本日、私がエレベーターに乗った時の話。
妊娠32週半ばの現在、週後半になってくると、仕事終わりの時間にはお腹がかなり張りっぽくなってきます。
あんまり自覚はないけど、疲れが溜まってくるのでしょうね。

病棟から医局まで戻るのに、お腹が張っちゃって張っちゃって、どうにもならなくて、ゆーっくり歩いた上で、仕方がないので最後は1階分だけど登りのエレベーターに乗りました。
乗ったら、知らない1年目の男性研修医が二人乗っていました。

さすがに、1階分だから申し訳なくて、「ごめんなさい」と言いながら一個上の階のボタンを押したら、その研修医に「運動した方がいいと思いますよ」と忠告されました(笑)
苦笑いするしかないですよね。

かなり出てきて目立っているお腹を示しつつ、「そうなんですけどね、今はお腹が張っちゃって仕方がないので。」と言ったら研修医くんはかなり焦って「僕今かなり失礼なこと言いましたね、うわーー」とか言っていましたけど。


白衣も前が閉まらないくらいの状態になっているお腹。
自分のスクラブはすでにパツパツで苦しくて着られないので、男性用のMサイズを借りて着ている状態。
知らない人が見ても、さすがに妊娠していると分かるくらいになってきているお腹ではありますが、エレベーターで乗ってきた人を真正面から見ていても、ちゃんと見ていないと気づかない。



普段の診療でも同じだと思うんです。
見ているようで、見ていないと気づかない。
よくみる、ということは言葉では簡単だけど、でも実際にやろうと思うと難しい。
特にNICUでは小さい赤ちゃんたちが相手なので、ごくごく小さな変化でも本来は見逃したくない。早めに察知してあげたい。
よく気づける、よく見ている人になりたい。

Oct 6, 2015

乳児健診

外勤。
他の病院での診療をすること。

今日、多分妊娠中最後の外勤に行きました。
妊娠して、酔い止めめまい止めを飲めなくなって、どうにも移動がしんどくて、6月に外してもらってから初めて。
本来の先生が夏休み中で、どーーーしても代わりに行ける人がいなくて、代わりに行ってきました。
本日の内容は、乳児健診外来。

小児科外来で、「乳児健診をしにきたんですが、場所ってどちらですか?」と確認。
笑顔で案内してくれた看護師さんが連れて行ってくれたのは、産科。。。

「あの、赤ちゃんの乳児健診です、小児科です」って言ったら、え?まだでしょ?みたいな顔をされ。
「乳児健診をしにきたドクターなんです」と言い直して初めて理解され、案内してもらえました(笑)

笑い話のような、本当の話。
確かに、どうみても妊婦ですからね。
そりゃまぁ、(乳児)健診、と聞いたら産科に案内しますよね。


そして、私の体調的に夕方のラッシュにかかる前に帰りたかったこともあり、12人を2時間で終わらせるという。

あ、もちろん、お母さんたちに心配なことありませんか?と聞いて、答えたりはしてますよ?
何か省いたりした訳じゃないんですよ?
合間にのんびりした時間はなく、すごい勢いで終わらせただけです。
やればできる。

これでもう外勤は無いかな、多分。
産後も外勤をやるという話は今の所上がってないから、私も言い出してないし。
まぁ、外勤無いと収入的には恐ろしく低いんですけどね。
赤ちゃんの健康と安全には変えられませんからね。

Oct 5, 2015

内服薬

授乳中は薬を飲んではいけない。
薬を飲むなら母乳をあげてはいけない。

そう思ってる方が非常に多いですが。
そんなこともないんですよね。

確かに、市販薬はいろんな成分がごちゃまぜに入っているので、授乳中はおすすめできません。
でも、処方薬はその成分に絞られてるので、比較的大丈夫です。

母乳に全く出ない訳では無いので、多くのお薬はダメと信じられています。
ですが、実は母乳への移行がすごーく少量であるお薬も多いです。
さらに言えば、赤ちゃんでも飲めるようなお薬であればさらに安心です。

母乳移行が無いようなお薬もありますし、もともと内服では吸収されないようなお薬は少々飲んでも吸収されませんから、問題無いです。
半減期(血中濃度が半分になる時間)が短い薬であれば、授乳直後に飲むという工夫も出来るかもしれません。


知らないと、母乳をあげるから薬を飲めない、薬を飲むから母乳をあげられない、になってしまいます。

でも、薬を飲む間だけ母乳が出なくて、飲み終わったら出る、なんてバカなことはありません。
つまり、母乳をあげない間は搾乳をしないと母乳量は維持されないし、おっぱいが張って乳腺炎になるかもしれません。


処方する医者も知っていなくてはいけないし、薬剤師も知らないといけないし、お母さんたちに伝えていかないといけない。
処方薬なら飲めるものが多いから、無理しないでね、と小児科ではせっせと説明するんですけどね。中々広まりません。

ぜひ、いろんな人に知ってもらいたいなぁ、と思います。
母乳あげるから薬飲めない、薬飲むから母乳あげられない、ではなく。
母乳中に薬飲むから小児科で相談してみよう、になって欲しい。

Oct 3, 2015

若い

私たちの中では、週数が早い早産の子達のことです。
(新生児業界では一般的なのかしら??)

昨晩というか、今朝未明というか、に入院になった子が、28週1日、1198gの子でした。

週数とか体重とか、その辺りはいいんです。
状態もまずまず落ち着いていて、特段すごく変なわけではない。
経過と行ってる治療を確認して。

はたと気づいたんです。
私より(というか、私のお腹の子より)も若くて小さいんだ、この子。

衝撃でした。
この子が退院する頃、私は既に一児の母になっている。
この子の予定日より、私の予定日の方が早いんだ。
この子より大きい子をお腹に抱えてるんだ。

頭じゃ分かってるけど、なんか衝撃。