GVHD = graft versus host disease = 移植片対宿主病
GVL = graft versus leukemia = 移植片対白血病効果
つまり、幹細胞移植をした際に、移植した側(ドナー側)の細胞が、宿主(レシピエント)を攻撃してしまうことがGVHDです。
移植したドナーの血球が、移植されたレシピエントの細胞たちを「異物(非自己)」と見なして攻撃してしまうというものです。
例えば急性GVHDでは、皮膚症状が出たり、肝機能が悪くなったり、消化管症状が出たり、などなどがあります。
と書くとなんだか悪いことみたいですが。
いいこともあるのです。
軽度に起こって、ドナーの血球が、レシピエントの白血病細胞たちを「異物」と見なして攻撃してくれれば、細胞レベルで残存している癌細胞が攻撃されることになる訳です。
例えば、急性骨髄性白血病の患者さんの骨髄に癌細胞が細胞レベルで残っていたとしましょう。
そこにドナーの幹細胞がどどっと移植されてきたら。こそっと残っていた癌細胞は邪魔な異物になる訳で、攻撃しますよね。
これがGVL効果です。
そのため、悪性腫瘍の子の移植の場合、GVHD症状が多少あるかないか程度になるように免疫抑制剤の量を調節します。
(もちろん、急性期は生着することが大事なので、きちんと抑えて、少ししてからこういうことを考えだすということになりますが)
そのくらいであれば、GVL効果にも期待が出来るかな、ということで。
でも、例えば免疫不全などの子の場合、欲しい免疫細胞が作れないことが病気の原因な訳で、悪性細胞がいる訳ではありません。
そのため、ドナーの細胞がレシピエントを攻撃するなんてことはなくて良い訳です。
なので、けっこうしっかりとGVHDを予防していきます。
でも、必ずしもGVHDが強いからGVLが強いとかそういう訳でもなくて。
GVHDで苦しんだけど再発した例もあったり。難しいですねぇ。
血液内科で訳分からずにどばーっっと移植患者さんを担当していた時と比べると、多少の余裕をもって患者さんを担当できているので、一人一人から学ぶことが多いです。
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